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【ビューティテック最前線】第20回:美容企業の「起業家目線」アクセラレータープログラム(国際商業9月号)

September 12,2019

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アイスタイルでは、ミッションである「ビューティ×ITで世界ナンバーワン」の実現を目指してグローバルに事業を展開しています。その中で、昨今世界の美容業界で盛り上がりを見せるBeautyTechの動向には以前から注目してまいりました。海外のグループ会社も増えてグローバルトレンド情報もいち早く入ってくるようになり、これらの情報を何らかの形で発信できないだろうか、そんな議論を積み重ね、@cosmeの編集ノウハウを活かす形で新たなメディアとして、今世界の美容業界で話題のBeautyTechを中心とした美容業界のイノベーショントレンドを配信する専門メディア「BeautyTech.jp」を立ち上げました。

そんな「BeautyTech.jp」の編集部は、「月刊 国際商業」という業界を代表する専門誌にて「ビューティテック最前線」というタイトルで連載させていただいています。

国際商業とは
1969年、化粧品および日用品の専門誌として創刊。川上のメーカーから川下の小売業の市場概況や経営戦略や関連省庁の動向・問題点など多岐にわたって情報発信するとともに、業界の発展に寄与すべく諸提案を続けている月刊誌です。
http://www.kokusaishogyo.co.jp/kokusai_syougyo/

今回は2019年9月7日発売、国際商業10月号に掲載されたものをご紹介します。

 

美容企業の「起業家目線」アクセラレータープログラム

企業が、スタートアップに対して、オープンイノベーションを目的に、出資、協業、提携を行い、ビジネス拡大のためのリソースやアドバイスといった支援を行うアクセラレータープログラム。国内では、昨年コーセーが美容業界で初めて実施し、今年7月には資生堂も募集を発表した。
欧米の美容大手企業は、アクセラレータープログラムとして早くからさまざまな試みを行っている。今回はこの1~2年で目についたユニークな試みを紹介したい。

女性起業家に特化したセフォラのプログラム

セフォラは2016年から女性起業家のスタートアップに対象を絞った「Sephora Accelerate」というプログラムを実施している。LVMHはロレアルなどとともに、世界最大規模のインキュベーション施設Station Fでアクセラレータープログラムを持つ企業の1つだが、それとは異なるセフォラ単独での取り組みだ。
セフォラが女性起業家に対象をしぼっているのは、同社のCSR施策の理念にある。「Sephora Stands」と名づけられたその施策は、「美の世界、ひいては人生における大胆な選択を応援する」ことを目的とする。この施策には、さまざまなワークショップや、セフォラの従業員に対する経済的支援もあるのだが、第一弾としてローンチされたのが、このアクセラレータープログラムだ。

このプログラムの大きな特徴は、応募してきた女性起業家たちのビジネスモデルを徹底的に検証し、進化させるためのプロセスをサポートすることにある。1週間にわたるブートキャンプでは、ビジネスモデルの精査にはじまり、市場分析や事業計画、在庫管理、資金調達計画まで、起業家がほしいアドバイスが手厚く受けられるほか、参加者同士、それぞれの課題に対するハードなブレインストーミングといった充実ぶりだ。
このプログラムが終了する7ヶ月後、毎年秋に行われるデモ・デイでは、セフォラの経営メンバー、美容関連企業や先輩スタートアップが参加し、その後のビジネスの人脈も広げられる。セフォラは2020年までに、50人以上の女性起業家のビューティビジネスをサポートするエコシステムをつくりあげる目標を掲げている。

韓国スタートアップにしぼって募集したバイヤスドルフ

アクセラレータープログラムの募集は、通常、世界中のベンチャーやスタートアップ企業から応募を受け付けているか、もしくは、その企業の本拠地がある国の企業にしぼられることもある。

しかし、2019年1月バイヤスドルフは、同社のニベアブランドを冠する「ニベア・アクセラレータ(NX)」の募集を本国ドイツではなく、韓国で行った。韓国が、Kビューティーで世界的な美しさのトレンドをリードし、デジタル技術のトレンドにも敏感で人材も豊富だというのがその理由だ。

「ニベア」ブランドでK-Beautyスタートアップを支援するバイヤスドルフ

採択されたのは、クチコミアプリ「オンニのポーチ」のデータをもとにPBも展開する「UNPA Cosmetics」や、韓国コスメのインドでの販売を手掛けるEC「Limese」、高密度焦点式超音波(HIFU)を利用した、パーソナル・ホームケアビューティーIoT機器を開発する「Reziena」などが採択された。

バイヤスドルフは、このプログラムをきっかけとして、韓国の美容スタートアップとより親密な関係を築いていくといわれている。今後はコワーキングスペースを運営するWeWorkと提携し、ソウルに「次世代Kビューティーイノベーションハブ」を設立、それをニベアブランドで後援していく方針だ。

J&Jのプログラムを修了した常在菌関連スタートアップ

アクセラレータープログラムではないが、ジョンソン・エンド・ジョンソン(以下J&J)のインキュベータプログラムであるJLABSは、世界11都市に拠点を持ち、ライフサイエンスをテーマとしてオープンイノベーションを目指している。
美容から医療まで幅広いジャンルに門戸を開いており、なかでも特筆すべきは、参加する起業家やイノベーターに一切の付帯条件が課されないことだ。目標数値や進捗状況をレポートする必要もなければ、コンフィデンシャルな情報を共有することも求められないので、ライフサイエンス系のスタートアップは知的所有権を守ったまま、研究開発に打ち込める。
起業家たちは資金面のサポートのほか、J&Jが持つ施設や設備から、ネットワークや人脈までフル活用できる。もちろん、メンターもつき、開発ステージのステップごとにアドバイスやほかのスタートアップとの交流もある。このプログラムに参加した新興企業はすでに400社以上となり、J&J自体が子会社化した企業はまだないが、ほかの大手企業の傘下入りをしたり多額の資金調達に成功した例も多い。
美容関連でこのJLABSを修了したスタートアップで特徴的なのは、皮膚上の常在菌に特化したラボやニキビケアだ。前者のOmeta Labsは、スキンケア製品がそれぞれの個人の常在菌の多様性を調節し、皮膚を健康な状態に保ってくれるかどうかを調べる、いわばパーソナライズド・スキンケアに向けての研究を行っている。後者は肌の常在菌をベースにしたDermalaというニキビ対策用のパーソナライズド・スキンケアを提供する。
こういった特徴あるプログラムには国境を超えて魅力あるスタートアップが集まる。それがどれほど企業の未来にとって大事なことか気づいているところほど、起業家目線のプログラムを創出しているように思われる。

 

BeautyTech.jp編集部
矢野貴久子
https://beautytech.jp/

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国際商業 2019年10月号より転載

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