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【ビューティテック最前線】 第9回:テクノロジー時代の韓国流ブランディング(国際商業11月号)

October 26,2018

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アイスタイルでは、ミッションである「ビューティ×ITで世界ナンバーワン」の実現を目指してグローバルに事業を展開しています。その中で、昨今世界の美容業界で盛り上がりを見せるBeautyTechの動向には以前から注目してまいりました。海外のグループ会社も増えてグローバルトレンド情報もいち早く入ってくるようになり、これらの情報を何らかの形で発信できないだろうか、そんな議論を積み重ね、@cosmeの編集ノウハウを活かす形で新たなメディアとして、今世界の美容業界で話題のBeautyTechを中心とした美容業界のイノベーショントレンドを配信する専門メディア「BeautyTech.jp」を立ち上げました。

そんな「BeautyTech.jp」の編集部は、「月刊 国際商業」という業界を代表する専門誌にて「ビューティテック最前線」というタイトルで連載させていただいています。

国際商業とは・・・

1969年、化粧品および日用品の専門誌として創刊。川上のメーカーから川下の小売業の市場概況や経営戦略や関連省庁の動向・問題点など多岐にわたって情報発信するとともに、業界の発展に寄与すべく諸提案を続けている月刊誌です。

 

http://www.kokusaishogyo.co.jp/kokusai_syougyo/

今回は2018年10月6日発売、国際商業11月号に掲載されたものをご紹介します。

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韓国で、スタイルナンダの3CEなどを筆頭にインディーズブランドが次々生まれては世界に羽ばたいている。大きな理由はEコマースやデジタルマーケティングをいち早く取り入れ、店舗や宣伝費などの重いコストの負担なしに、誰でも起業できるようになったからだとも言える。
が、テクノロジーの進歩は韓国に限ったことではない。最近、韓国ではなぜ化粧品スタートアップが多く、そして、なぜあまり倒れずに生き残っていけるのかという質問を受けることが多くなった。

韓国では、老若男女問わず化粧品への関心が高く、また、人口5,100万人の韓国市場は日本ほど大きくないため、最初から海外展開を視野に入れている。海外では、K-POPや韓国映画の人気も高く、ある一定の成長をとげたブランドは、K-POPスターや俳優をインフルエンサーとして起用し、さらに知名度を高めるのが成功路線のひとつとして定着している。
また、顧客との丁寧なコミュニケーションなど、テクノロジー時代にあっても変わらぬ基本を貫いているブランドが多いのも特徴だ。今回は、その典型例ともいえるブランド「パパレシピ」を紹介したい。

ヒット商品のひとつ、はちみつとプロポリス成分が配合されたマスクBombee Brightening Honey Mask(papa recipe 公式Instagramより)

 

娘の敏感肌を気遣う父親が立ち上げた自然派コスメ「パパレシピ」は、立ち上げ6年で中国をはじめ欧州、アメリカといったビッグマーケットでも人気で、韓国のインディーズブランドとして大きく成長したコスメのひとつでもある。創業者のキム・ハンキュン氏に成功の理由を聞いた。

 

Q1. 創業したきっかけは?

幼い頃から化粧品がとても好きで、学生時代にも友達に化粧品持ちと呼ばれるくらい化粧品に興味があり、韓国で最初の男性ビューティブロガーとして活動していた。いまは男性が興味をもつのも自然だが、当時は風当たりも強くそれがかえってやり続けようと思う動機になった。2011年7月に化粧品会社を創業したのは、敏感肌だった自分の子どもにプレゼントをしたかったからだ。韓国にはパートナーのように一緒に小ロットでも化粧品を製造できるOEMメーカーがある。創業のハードルは低い。

 

Q2. ブランド及び製品の特徴は?

世の中には数多くの化粧品があるが、自分の子どものために作った製品はそれほど多くない。すべてに家族が使う気持ちで化粧品をつくろうという「パパの真心」を基盤に製品を作っている。弊社の製品を使って肌が綺麗になったと言われると僕の子どもの肌が綺麗になったことと同じように嬉しい。これからも自分の子供が中学校、高校、大学生になるまで使える製品を作りたい。

 

Q3. ターゲットユーザーは?

自分もそうだったが、肌悩みの多い思春期、10代後半~20代前半のユーザーに向けた中低価格のコスメで、とくにティーツリーコントロールのラインが人気。去年からはナスのルペオール成分を研究し20代半ばから後半のトラブル肌に対応したラインを開発し、マッドクリームマスクはファへ(日本のアットコスメに相当する韓国の口コミサイトのひとつ)の2017年ビューティアワードを受賞している。

ナスのルペオール成分を配合したEggplant Clearing Mud Cream Mask(papa recipe 公式Instagramより)

 

Q4.マーケティング活動について

いまでも顧客に自筆の手紙を送っている。パパレシピをローンチしてから今まで毎月手紙を書いているが、顧客から返事とともに製品のフィードバックや要望をもらえたりする。そのなかから実際に商品化したものもある。いち早く試したマーケティング手法は顧客とのコミュニケーションで、一人一人の声を大事にしている。いまは公式フェイスブックページで、自社制作のコンテンツを配信している。外注するより、製品をいちばんよく知っている社員みんなでつくるほうが伝わる。今年は、俳優のパク・ヒュンシュクを専属モデルに起用し、さらに知名度をあげていく予定だ。

Q.海外イベントについて

中国、ヨーロッパ、アメリカなどグローバルマーケットにブランドを知らせるため、化粧品展やイベントにもいろいろ参加している。販路開拓だけではなく、自社ブランドと他のブランドを一目で比較でき、海外のマーケティング活動にも役立てられるからだ。海外のイベントに持続的に参加していると私のことを覚えてくれる人もいる。ブランドは突然出来上がるものではなく、さらに真摯に消費者や、バイヤーとコミュニケーションをとるマーケティング活動を広げたい。

 

Q5. ブランド成功のターニングポイントはどこか?

まだターニングポイントはないと感じている。しいていえば真面目に持続的に、化粧品の本質を守ろうとしているから支持されているのだと思う。顧客の意見が製品にもきちんとこめられていることが伝わっているのではないか。

 

Q6. これからの展開は?

パパレシピというブランドがローンチして6年になる。この先は長いと感じているが、それはまだまだやりたいことが多いからだ。
パパレシピの社屋の各階にそれぞれ異なる個性的なブランドを展開し、グローバルビューティブランドグループに育てるのが夢だ。

 

BeautyTech.jp編集部
編集長 矢野貴久子
https://beautytech.jp/

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国際商業 2018年11月号より転載

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PROFILE

170810矢野

Kikuko Yano

BeautyTech.jp編集部

雑誌編集、ネットメディア立ち上げを経て、プロデューサーとして、さまざまなネットメディアの編集、デジタルマーケティングに関わる。
Beauty Tech.jpは、サイト立ち上げ準備からプロデューサーとして陣頭指揮を執っている。10歳の息子との戦いごっこで体力づくりの毎日。

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