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【ビューティテック最前線】
第5回:デジタル時代の消費者の本音を熱狂に変える術
(国際商業7月号)

July 9,2018

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アイスタイルでは、ミッションである「ビューティ×ITで世界ナンバーワン」の実現を目指してグローバルに事業を展開しています。その中で、昨今世界の美容業界で盛り上がりを見せるBeautyTechの動向には以前から注目してまいりました。海外のグループ会社も増えてグローバルトレンド情報もいち早く入ってくるようになり、これらの情報を何らかの形で発信できないだろうか、そんな議論を積み重ね、@cosmeの編集ノウハウを活かす形で新たなメディアとして、今世界の美容業界で話題のBeautyTechを中心とした美容業界のイノベーショントレンドを配信する専門メディア「BeautyTech.jp」を立ち上げました。

そんな「BeautyTech.jp」の編集部は、「月刊 国際商業」という業界を代表する専門誌にて「ビューティテック最前線」というタイトルで連載させていただいています。

国際商業とは・・・

1969年、化粧品および日用品の専門誌として創刊。川上のメーカーから川下の小売業の市場概況や経営戦略や関連省庁の動向・問題点など多岐にわたって情報発信するとともに、業界の発展に寄与すべく諸提案を続けている月刊誌です。

 

http://www.kokusaishogyo.co.jp/kokusai_syougyo/

今回は2018年6月7日発売、国際商業7月号に掲載されたものをご紹介します。

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デジタル時代の消費者の本音を熱狂に変える術

自分たちがいいと思っていることを忠実にぶれずに実行する。そのことが、若い世代の「熱狂」をうむ。その「熱狂」はいまのデジタル時代、同じような価値観をもった人に、どんどん伝播していく。その根底にあるのは、ゆるぎない信頼感だ。BeautyTech.jpの編集をするなかで、それを痛烈に感じた取材記事がたてつづけに3本あった。それぞれ、リアルイベント、ネット動画、ツイッターと舞台は異なるが、デジタルを通して消費者の本音に寄り添い、熱狂を生み出している。

 

米国の美容フェスBeautyconが教えるもの

「化粧品会社はかつて〝これが美〟というのを教えてきたけれど、私たちの世代は商品を勝手に使いこなす。生まれた時は誰もが完璧なのに、劣等感を押しつけてくるのは、自社製品を売りたい化粧品会社のせい」
これは、体型に対する中傷に立ち向かう歌詞で知られるラッパーのLizzoが、今年の4月に行われた米国最大の美容フェス、Beautycon・NYCで語った言葉だ。

 

痛烈な言葉に、つめかけた会場のティーンを含む若い女性たちからは大きな拍手があがっていた。
この美容フェスでは、美容とは生き方そのものだというテーマが一貫している。もちろん、来場者たちは、目当ての化粧品のブースで存分にメイクアップアイテムを試し、憧れのインフルエンサーに歓声をあげ、インスタ映えする装飾に彩られたブースでセルフィーにいそしむ。そうしながら、この美容フェスの基本スローガンである「あらゆる人種、性別、年齢、国とオリジン、性的指向、宗教、体型、ユニコーン(米国でLGBTQの象徴)」に心地よさを感じているのだ。

 

Beautycon NYC 2018にて、女性CEOたちがパネリストとして登壇した「SHE-eo」のセッション(撮影・黒部エリ)

冒頭のLizzoをはじめ、ステージの登壇者たちは、とにかく多彩だ。ウーバーの再生に挑むアップル出身の黒人女性幹部、ボゾマ・セントジョンと、映画『グレイテスト・ショーマン』にも出演している女優で歌手のゼンデイヤが、ブラックの女優として、あるいは企業幹部として活動することを語り、プラスサイズモデルたちが、「ニッチであることは、新しい普通」と題したディスカッションで語る。これが美容フェスかと目を疑うBeautyconの仕掛け人は、広告代理店の代表でもあった女性である。口コミやSNS効果で2日間で1万6000人ものミレニアルやZ世代を動員し、ヒラリー・クリントンも激励に駆けつけるほどの破壊的なパワーだ。もちろんここにブースを出展する企業も、このスローガンに共鳴している企業として来場者との信頼関係を築くことができるわけである。

「口出し」しないことが好結果につながる

ソフトバンクやクラシエホームプロダクツといった企業の動画広告でありながら、通常の人気動画をうわまわるほどの再生回数を叩き出すのが、UUUM株式会社だ。HIKAKINやはじめしゃちょー、フィッシャーズなどの人気クリエイターが多数所属している。

 

UUUMが徹底しているのはクリエイターの志向や意思を最重要視していることだ。そのために、日頃から「バディ」と呼ばれる担当者がクリエイターにつき、彼らがいま何を考えているのか、面白いと感じていることがどういうことなのかを把握し、案件にマッチするクリエイターをアサインする。

 

そして、企業には必要以上に口出ししないほうが好結果が多いと説く。どうやったら面白くなるか、結果として商品のよさを伝えられるかを知り抜いているのがクリエイターだからだ。
その環境下でのびのびとつくられた動画は、見ているほうも広告と知りながら「こんなに面白いなら歓迎だ」と10分近い長尺も最後までよく見られ、数百万という再生数にもつながる。結果として、動画配信中の売上げが伸びるなどの数字もついてくる。クリエイターと視聴者のあいだの信頼関係を決して壊さないからだ。

ツイッターのリアルな情報に静かなる熱狂が生まれている

いま、美容インフルエンサーの本音がいちばんわかるのはツイッターだと言われている。リアルな美容事情を「#美容垢」「#コスメ垢」などのハッシュタグをつけて発信する彼女たちのフォロワーは、数千~多くても数万くらいだが、そのフォロワーたちがまた信頼されるインフルエンサーでもあり、発信の内容によっては、店舗やECから一時的に商品が売り切れてしまうほどの影響力を持つ。

 

インスタグラムがキラキラしたある意味つくられた世界なのに対して、ツイッターは匿名で活動するケースが多い、あくまでもリアルで本音の世界だ。インフルエンサー側も、まずはつぶやいてみてユーザーの反応をうかがってから、リツイートやDMの質問を見て、より深くwebサイトや動画にして伝えていく。企業からPR依頼を受けても「本当に自分が紹介したいものかどうか」を見極める。その信頼感がもてる姿勢がまたファンを増やしていくという循環だ。

 

これらの事例は、どれも消費者に迎合しているわけではない。ただ、時代の空気や思いをくみとって、自身の創造性をミックスし細部にも手を抜かない。とはいえ上から目線でなく、仲間のような感覚だ。こういった事例から学べるのは、企業姿勢としてもどれだけ消費者の本音に深く寄り添い、信頼しあう関係をつくれるかだ。昨今の炎上案件も見るにつけ、デジタル施策は、それとセットでなければ、むしろやらないほうがいい、とすら思える。

 

 

BeautyTech.jp編集部
矢野貴久子
https://beautytech.jp/

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国際商業 2018年7月号より転載

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