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【ビューティテック最前線】 第12回:進む「美容部員のインフルエンサー化」―育成メリットは売上げ以外にも(国際商業2月号)

February 4,2019

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アイスタイルでは、ミッションである「ビューティ×ITで世界ナンバーワン」の実現を目指してグローバルに事業を展開しています。その中で、昨今世界の美容業界で盛り上がりを見せるBeautyTechの動向には以前から注目してまいりました。海外のグループ会社も増えてグローバルトレンド情報もいち早く入ってくるようになり、これらの情報を何らかの形で発信できないだろうか、そんな議論を積み重ね、@cosmeの編集ノウハウを活かす形で新たなメディアとして、今世界の美容業界で話題のBeautyTechを中心とした美容業界のイノベーショントレンドを配信する専門メディア「BeautyTech.jp」を立ち上げました。

そんな「BeautyTech.jp」の編集部は、「月刊 国際商業」という業界を代表する専門誌にて「ビューティテック最前線」というタイトルで連載させていただいています。

国際商業とは・・・

1969年、化粧品および日用品の専門誌として創刊。川上のメーカーから川下の小売業の市場概況や経営戦略や関連省庁の動向・問題点など多岐にわたって情報発信するとともに、業界の発展に寄与すべく諸提案を続けている月刊誌です。

 

http://www.kokusaishogyo.co.jp/kokusai_syougyo/

今回は2019年1月6日発売、国際商業2月号に掲載されたものをご紹介します。

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進む「美容部員のインフルエンサー化」―育成メリットは売上げ以外にも

時にテレビタレント以上の影響力を持つ、人気ユーチューバーやインスタグラマーなどのインフルエンサー。彼らの影響力に目をつけ、企業がプロモーションにインフルエンサーを起用する動きは一般化しつつあるが、最近では海外を中心に、社員をインフルエンサー化する取り組みも広まっている。事例を見ながらインフルエンサーを社内で育成するメリットについて考えてみたい。

 

 

「人」の教育に力を入れるエスティ ローダーの取り組み

エスティ ローダーは、デジタルシフトのための人材育成に向け、積極的な投資を行っている。米国では美容コンサルタントがSNS上で顧客とチャットしコミュニケーションを図るほか、AR(拡張現実)を用いたトレーニングツールを導入。美容部員(BA)向けの研修をe-ラーニングで行っている(※ARトレーニングは2018年8月から日本でも開始)。

 

特筆すべきは、全エグゼクティブがフェイスブックやインスタグラムなどと協力してECやSNSについて学習するほか、従業員2500人以上がトレーニングを受けていることだ。こうした米国での動きを受け、日本でも同様の人材育成に対する取り組みが始まった。

 

社内でインフルエンサー候補を公募―客層の変化に対応する狙い

同社は年に1回、BA向けのメイン行事「ビューティー アドバイザー ナショナル コンベンション」を実施している。今年のコンセプトは、〝楽しい〟。参加者が積極的に学べるようにと、会場には季節のスイーツやかわいいディスプレイを用意し、思わず「写真を撮りたくなる」「インスタにあげたくなる」仕掛けを施した。

 

狙いは、研修の目的の一つである、インスタでの情報発信を身につけてもらうことだ。「デジタルを利用する顧客が増え、客層が変わってきた。BAもそうした変化に対応していけるようにしたい」と、仕掛け人のELGCエスティ ローダー事業部営業本部トレーニング部トレーニングマネージャー江川みさ氏はいう。

 

会場に集まったのは、SNSで発信したいと手を挙げた約30名のBAだ。社内インフルエンサーとしてエスティ ローダーの商品プロモーションをしたり、顧客とコミュニケーションを図ったりすることが求められる。

 

SNS発信がBAのモチベーションアップにつながっている

18年3月からは日本のBAによるSNS発信を開始した。インスタグラムで、「#エスティローダーBA」というハッシュタグをつけ、店舗のアカウントか、自身のアカウントから月に1回程度投稿する。

BAが発信するにあたり最低限のガイドラインは設けたが、細かいルールは設定していない。BA自身の判断やアイディアに任せた結果、海外顧客を意識し中国語の商品説明を一緒に投稿したり、店舗独自のキャンペーン情報を発信したりするなど、会社として想定していなかったコンテンツを考え、発信するBAも増えてきた。「広告と同じビジュアルではなく、作り込みすぎていないコンテンツがユーザーには好評で、公式アカウントでも流用させてもらうこともある」と、江川氏との連携でデジタルトレーニングをサポートする同事業部デジタルマーケティングマネージャー宮下麻未氏は語る。現在の投稿数は約1100件(18年12月時点)。定期的なモニタリングはしているが、今のところ炎上などの大きなトラブルは起きていないという。

 

SNSでの情報発信は、「BAの働くモチベーションにもつながっている」と宮下氏はBA自らがSNSで発信するメリットについて説明する。エスティ ローダーに限らず、美容業界全体で人材不足は深刻な問題となっており、インフルエンサー化により、離職率の低下や人材獲得が進むかが注目される。

 

メイシーズによる従業員のインフルエンサー化プログラム

米国では老舗百貨店のメイシーズ(Macy’s)がインフルエンサーの社内育成を進めている。メイシーズの社員であれば誰でもインフルエンサープログラムに申し込め、事実上ほぼすべての製品に無料でアクセスできる。「#macysstylecrew」や他のハッシュタグをつけ、専用リンクを自身のインスタグラムなどでプロモーションし売れると、売上げの一部がインフルエンサーに還元される仕組みだ。

 

彼らは平均してフォロワー1万人未満程度の「マイクロインフルエンサー」といえる。しかし日頃から彼らのインスタグラムやスナップチャットなどを楽しみに見ている友人や家族へのリーチにより、購入が生じることは十分考えられる。また従来店頭でしか販売機会がなかった従業員にとって、自身のアイディアや工夫次第でSNSを通じて新たな収入源を得られることは、大きなモチベーションになるはずだ。加えて、社内育成しているということは、従業員の知見がそのまま会社の財産となり、他のインフルエンサーに共有もできるなど、会社としてのメリットも大きい。

 

日本で今後どこまで社内インフルエンサーが影響力を持ち、一つの販売スタイルとして確立するかは未知数だが、社内インフルエンサー化は売上げ面だけでなく、働き方の面でもポテンシャルがある。これまで接点がなかったBAと顧客がオンラインでもつながれるようになれば、信頼関係を築き、新たな販売機会を得るだけでなく、従来知り合えなかった顧客との出会いも期待でき、結果としてそれらが働くモチベーションにつながるはずだ。また、育休などの理由により現場を離れたBAが、経験を生かし自宅から仕事を続けることも可能になり、柔軟な働き方の推進も期待できる。

 

BeautyTech.jp編集部
副編集長 公文紫都
https://beautytech.jp/

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国際商業 2019年2月号より転載

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PROFILE

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BeautyTech.jp編集部 副編集長

東京都生まれ。青山学院大学文学部卒業後、IT関連企業、新聞社勤務を経て、2012年6月に独立。以来、国内外の IT、EC業界を中心に、幅広い分野で取材・執筆を行う。2014年5月にニューヨークに生活拠点を移し、2018年1月に本帰国。現在はBeautyTech.jp編集部に在籍。

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