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【ビューティテック最前線】 第11回:日本のD2C、パーソナライゼーションでムーブメントとなるか(国際商業1月号)

December 18,2018

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アイスタイルでは、ミッションである「ビューティ×ITで世界ナンバーワン」の実現を目指してグローバルに事業を展開しています。その中で、昨今世界の美容業界で盛り上がりを見せるBeautyTechの動向には以前から注目してまいりました。海外のグループ会社も増えてグローバルトレンド情報もいち早く入ってくるようになり、これらの情報を何らかの形で発信できないだろうか、そんな議論を積み重ね、@cosmeの編集ノウハウを活かす形で新たなメディアとして、今世界の美容業界で話題のBeautyTechを中心とした美容業界のイノベーショントレンドを配信する専門メディア「BeautyTech.jp」を立ち上げました。

そんな「BeautyTech.jp」の編集部は、「月刊 国際商業」という業界を代表する専門誌にて「ビューティテック最前線」というタイトルで連載させていただいています。

国際商業とは・・・

1969年、化粧品および日用品の専門誌として創刊。川上のメーカーから川下の小売業の市場概況や経営戦略や関連省庁の動向・問題点など多岐にわたって情報発信するとともに、業界の発展に寄与すべく諸提案を続けている月刊誌です。

 

http://www.kokusaishogyo.co.jp/kokusai_syougyo/

今回は2018年12月7日発売、国際商業1月号に掲載されたものをご紹介します。

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日本のD2C、パーソナライゼーションでムーブメントとなるか

前回は、米国のD2C事例を紹介した。日本では「パーソナライゼーション」という軸で次々にD2Cブランドが登場している。スタートアップ各社は、D2Cならではの方法で、どう既存のマーケットに挑もうとしているのか。五つのブランド事例からその内容を見ていきたい。

米国とは違う潮流で進む
日本の美容・ライフスタイルD2C

前回紹介したとおり、米国のD2Cトレンドのように、影響力のあるセレブやインフルエンサーが直接コスメブランドを立ち上げたり、強い理念やアイディアを持って既存の市場に挑むD2C事例は、まだ日本では多くない。が、「モテクリエイター」として、若い女性から絶大な支持を得る〝ゆうこす〟(菅本裕子)さんが、インスタグラムをたくみに使い、自身のスキンケアブランド「ユアンジュ」の人気を高めつつあるほか、男性用スキンケアのバルクオムも急成長中だ。ともに成長戦略が描けるか期待したいところだ。

 

その一方で、日本ではパーソナライゼーションに特化したD2Cブランドが登場している。
スマホが人々の生活に浸透し情報のパーソナライズ化が進むにつれ、自分が抱える悩みや要望に沿った商品が欲しいという「購買行動のパーソナライズ化」は、美容やヘルスケア、ライフスタイル分野でも今後さらに加速すると考えられる。いち早くその波に乗ったのが、資生堂だ。

 

同社はIoTスキンケアシステム「Optune」を開発。自社開発した肌測定アプリ「肌パシャ」測定機能技術を用いた肌測定データと、気候などの外的環境データ、メンタル、生理周期などのデータを独自のアルゴリズムで解析。日々変化する肌状態に、最適なセラムとモイスチャライザーを2ステップで抽出する個人向けサービスをベータ版にて始めている。デバイスはレンタルで、肌状態に合わせ送られてくる5本のカートリッジをセットして使用する。

 

香り、サプリ、ヘアケア分野で日本でもスタートアップが活躍

 

スタートアップも続々登場している。パーソナライズ化を進める資生堂が出資したことでも注目を集めるドリコスは、オーダーメイドサプリを提供するIoTサーバー「healthServer」を開発。マシンに両親指を20秒ほど置き脈拍などの生体情報を取得させると、必要な栄養素を推測し「ビタミンB1」「ビタミンC」「葉酸」など5種類の中から、その都度自動で配合した粉末サプリを提供する。ユーザーはそれを水やお茶に溶かしたり、サラダにかけたりして摂取する。現在はオフィス向けに提供しているが、今後は個人向けサービスも始める予定だ。

 

香りのパーソナライズ化を進めるのが、「CODE Meee」。1回4500円で、自分専用のアロマミストが送られてくる。ユーザーがサイトから、時間帯ごとに望む香りや色、感情などの診断を行うと、その結果に基づき、朝・昼・晩の時間帯ごとに(すべて同じにすることも可能)、最適化された香りを調香する。現在は約3000パターンの香りを作ることができ、変数となる項目やアルゴリズムは、もともとフレグランス会社に勤務していた創業者の経験が活かされている。使用する素材は天然100%で、希少な日本産精油(エッセンシャルオイル)をメインに活用。アロマセラピーに準じ効果効能イメージが分かりやすいことからか、男性ユーザーも多い。

 

ヘアケアでは二つのブランドが登場した。それぞれウェブ上で髪の悩みや香りの好みなど、複数の項目からなるアンケートを行い、その結果に基づきユーザー一人一人に最適化したシャンプーを作る。国内初として先行リリースされた「MEDULLA」は100通りの組み合わせを提供するのに対し、後発の「mixx」は1万9530通りだ。
MEDULLA」は、技術的には組み合わせを増やすことは可能としているが、数を絞る理由について、日本人の髪質が大きく分類して8種類しかないと言われていることを挙げる。100通りもあればパーソナライゼーションとしては十分というのが同社の考えだ。

日本にはシャンプーは1万種類以上あるとされ、その膨大な数ゆえにどれを使ったらいいか分からないユーザーも多い。両社ともその中でシャンプーとトリートメントのセットで、1カ月分約7000円と高価格帯商品を提供。大量生産・大量消費でコストを抑えてきた大手にはなかなか取り組めない、ヘアケア品のパーソナライゼーションを武器にどこまでシェアを拡大できるかに注目が集まる。

 

今回紹介したサービスや商品は、中~高価格帯の部類だが、D2Cモデルでなければ、さらに価格帯は高くなったことだろう。むしろ日常的に使う商品に、「パーソナライゼーション」という付加価値がつきながらこの価格で買えるメリットを消費者が理解できるようになれば、顧客のリピーター化はおおいに可能性がありそうだ。
米国ではブランド作りを語る上で、「顧客を教育する」という表現をよく使う。顧客にどうブランド価値を伝え、使い続けるために納得してもらうか。顧客とのコミュニケーションを通じて、ブランドの良き理解者になってもらい、長きにわたってファンでいてもらうことに重きをおいている。

 

日本のパーソナライゼーションに特化したD2Cブランドも、その裏側にあるストーリーをしっかり伝え、またパーソナライゼーションの一番のポイントである、ユーザーからのフィードバックを基により良い商品提案をし続けられるかが、各サービスに与えられた課題と言えそうだ。

 

BeautyTech.jp編集部
副編集長 公文紫都
https://beautytech.jp/

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国際商業 2019年1月号より転載

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PROFILE

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BeautyTech.jp編集部

東京都生まれ。青山学院大学文学部卒業後、IT関連企業、新聞社勤務を経て、2012年6月に独立。以来、国内外の IT、EC業界を中心に、幅広い分野で取材・執筆を行う。2014年5月にニューヨークに生活拠点を移し、2018年1月に本帰国。現在はBeautyTech.jp編集部に在籍。

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