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【リサーチコラム】 ビューティトレンド総まとめ 【2019年度 上半期版】

July 10,2019

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アイスタイルには、「日本最大のコスメ・美容の総合サイト@cosme(アットコスメ)」の膨大なデータ群を分析し、マーケティングに活用する「リサーチグループ」があります。1400万件を超える膨大なクチコミはもちろん、アクセスデータや意識調査やインタビューを通して、消費者に触れ続けているリサーチグループ。そんな彼らの知見をご紹介します。

 

今回のテーマは、「2019年度上半期のビューティトレンド総まとめ」です!

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2019年も半年が経過しましたが、19年度(昨年11月1日~本年4月30日)はどのような化粧品が発売され、生活者からの支持を得ているのでしょうか?

 

@cosmeでは先日6月18日、昨年11月1日~本年4月30日の新商品のみ対象とした「@cosmeベストコスメアワード2019上半期新作ベストコスメ」を発表しました。受賞ラインナップとともに、人気商品の傾向やいまの生活者の気持ちについて考えてみたいと思います。

 

「自分に似合う」ものを使いたい気持ちは継続

2019年上半期(昨年11月1日~本年4月30日)も非常に多くの化粧品が発売されました。昨年同期間に@cosmeに登録された新商品数と比較すると、その数は約1.3倍に及びます。また、香りやカラーバリエーションなどの幅も増え、生活者にとっては自分の好みのものと出会える可能性が広がっていると言えるでしょう。今年の「上半期新作ベストコスメ」受賞商品のラインナップを見ても、大賞に輝いたコスメデコルテ「フェイスパウダー」(全6色)、第2位のマキアージュ「ドラマティックルージュEX」(全7色・限定色含む)をはじめとし、自分の好みに合わせ選択可能な商品が多くランクインしています。※カラーバリエーションは2019年4月時点

 

しかし、行動経済学などでは「人は選択肢が多くなると決めることができずに、購入自体をやめてしまう」とも言われています。決して化粧品だけに限ったことではありませんが、モノや情報が溢れる現代においては、数ある選択肢の中から自分に合うものを絞り込むための方法が求められています。

 

その一つとして、@cosmeのクチコミの中でも出現率が増加しているのが「ブルベ・イエベ」による診断方法です。ワードの伸長傾向は一昨年(17年度)あたりから徐々にみられていましたが、今年はさらに顕著に表れています。

※「ブルベ・イエベ」とは、ブルーベース・イエローベースの略で、皮下組織にある血管の色味から判断する。

  • 『パーソナルカラーはイエベ春です。パーソナルカラーに基づいてカラー提案されているので、迷ったら参考に出来るのでいいと思いました』
  • 『ブルベにおすすめと言われると太鼓判を押されたような気がして買ってしまいました』

など、購入の後押しとなっているクチコミが散見します。

 

一方で、

  • 『最近自分がブルベかイエベかわからない』
  • 『私にはどっちの要素も入っているようで春イエベではないことはわかったが未だにわからない。自分では断定ができなかった』など、「ブルベ・イエベ」軸では選べないと言った声も増えつつあります。自己流での「ブルベ・イエベ」診断が難しいことや、見てもらう機械や人によって異なる診断が出てしまい、よくわからなくなってしまったという人も少なくない様です。「ブルベ・イエベ」によるカラー選択が一般化してきたからこそ生じる現象であり、今後ますますこうした思いを抱く人が増えるのではないかと予想しています。

選べない人にいかに寄り添えるかが今後の課題

「ブルベ・イエベ」の軸で選べない人たちに向けた、色味がきちんと用意されているという点も、コスメデコルテ「フェイスパウダー」とマキアージュ「ドラマティックルージュEX」が生活者から支持されている理由のひとつであろうと考えています。

 

コスメデコルテ「フェイスパウダー」はリニューアルにあたり追加された新色の「00番(無色)」、マキアージュ「ドラマティックルージュEX」は「RD430(ニュートラル)」がそれにあたるのではないでしょうか。実際、@cosmeの購入者のクチコミを見ると、これらの2色の選択率が高いのも興味深い点です。

 

豊富な展開により、自分のなりたいイメージや好みのものを選べる楽しさも提供しつつ、選べないという生活者の心理に寄り添える「ブルベ・イエベ」のような軸の提案。さらにはその先の多くの人が似合う最大公約数を見つけ出し、用意しておくことが、今後重要な要素となっていくのではないかと感じています。

「肌の意識高まる」その流れはベースメイクやスキンケア以外でも

次に、注目すべき2019年上半期の流れとして「肌への意識の高まり」が挙げられます。ここ数年、SNSの影響からかカラーメイクアップなど視覚的に魅力的なアイテムに人気が集る傾向がありました。その流れは継続しているものの、さらに今年はベースメイクやスキンケアなどの【肌】をきれいに見せることに生活者の意識が向き始めているのではないかと感じています。

 

大賞に選ばれた商品がベースメイクであることや、直近1年間に@cosmeに投稿された購入者のクチコミ件数の伸長率が「ベースメイク」や「スキンケア」で高いことからも「肌への意識の高まり」が窺えるでしょう。

こうした流れを生み出している要因のひとつに、写真加工アプリがあるのではないかと考えています。クチコミの中で「トーンアップ」というワードが昨年の約2.2倍に伸長しました。肌を「トーンアップ」することで、全体の印象が変わるということを写真加工アプリで体感した人も少なくないでしょう。

 

また、「トーンアップ」以外でも加工された自分の写真を目標にスキンケアに励んでいるというクチコミも見られています。芸能人やインフルエンサーを目標にするのではなく、加工された自分を目指しスキンケアやメイクを行うというのが昨今のトレンドとなっているようです。

 

さらに、スキンケアやベースメイク以外でも「肌」を軸としたコミュニケーションが見受けられ、かつそれらの商品が上半期ベストコスメにも選ばれている点にも注目しています。素肌まできれいに見せる繊細なカラーを展開するエクセル「ネイルポリッシュ N」がベストネイル1位を受賞。ベストアイライナー1位を受賞したUZU BY FLOWFUSHI「UZU アイオープニングライナー」は、「肌も瞳もクリアに」と謳ったWHITE(ホワイト)カラー、カラーが売り切れになるなどSNS上で話題を集めました。また先日追加発売されたNAVY(ネイビー)も「瞳に透明感、肌に血色感」と謳っており動向が気になるところです。

素肌感のある肌を目指し、肌に溶け込む一体感求める

 では、「肌」の意識の高まりをうけて、生活者はどのような肌になりたいと思っているのでしょうか?クチコミ内で伸長率が高い「肌」に対する表現を調べてみると「素肌感」「厚塗りにならない」「ツヤが出る」などが上位にみられました。「素肌感」を叶える肌なじみのよいアイテムも人気の様で、ジェル・クリーム系のアイテムが多く発売されています。今回の上半期新作ベストコスメでも、ベストチーク1位、2位ともにジェル・クリーム系の商品がランクインしているのが象徴的です。

 

 

また、肌なじみのよさを想起させるワードとして「溶け込む」という表現を商品説明文に盛り込むブランドが増えている様です。(例:コスメデコルテ「フェイスパウダー」/極上のシルクのような軽くなめらかなタッチで、しっとり肌に溶けこむフェイスパウダー)@cosmeの商品データベースを活用し、新商品の中で「溶け込む」というワードをメーカー側がどの程度謳っているのか、その推移を調べてみたところ、5年前と比べて約2.1倍使用されていることが分かりました。

 

「溶け込む」は、スキンケア・メイクアップ・ベースメイクに関わらず肌なじみのよさや、心地よい使用感を表す文脈で使用されることが多い様ですが、メイクアップやベースメイクを「肌に溶け込ませる」という表現は、一昔前までは抵抗を感じる人が多かったのではないでしょうか?それが違和感なく受け止められている背景には、ベストクリームファンデ1位HAKU「薬用 美白美容液ファンデ」のようなハイブリッド、カテゴリーを超えた商品の影響が大きいのではないかと考えています。特にいまの若年層は決められた固定概念に縛られるのを嫌うと言いますので、カテゴリーの概念の崩壊はさらに加速するでしょう。

「素肌感」は、頑張りすぎない・ヘルシーさを求める生き方の延長

「素肌感」を求める傾向の裏には「頑張りすぎない」「気負わない」「素の自分でいる」ことをよしとするいまの女性たちの価値観が反映されているように感じます。盛らずにナチュラルにヘルシーな生活を送りたい。シンプルな生活、エコ思考の高まりなども含め、今のこの流れはしばらく続くのではないでしょうか。

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PROFILE

原田彩子ONDA3688

Harada Saiko

株式会社アイスタイル リサーチプランナー

クチコミをはじめとした膨大なデータは、アイスタイルの財産です!

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