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【@cosmeから見た”生活者”のいま】
最終回:進化する「ビューティテクノロジー」(国際商業2月号)

January 16,2018

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アイスタイルには、「日本最大のコスメ・美容の総合サイト@cosme(アットコスメ)」の膨大なデータ群を分析し、マーケティングに活用する通称「リサーチチーム」と呼ばれる部隊がいます。

1300万件を超える膨大なクチコミはもちろん、アクセスデータや意識調査やインタビューを通して、消費者に触れ続けているリサーチチーム。そんな彼らの気づきや仮説、興味を「月刊 国際商業」という業界を代表する専門誌にて「@cosmeから見た”生活者”のいま」というタイトルで連載させていただいております。

国際商業とは・・・

1969年、化粧品および日用品の専門誌として創刊。川上のメーカーから川下の小売業の市場概況や経営戦略や関連省庁の動向・問題点など多岐にわたって情報発信するとともに、業界の発展に寄与すべく諸提案を続けている月刊誌です。

 

http://www.kokusaishogyo.co.jp/kokusai_syougyo/

2018年1月6日発売、国際商業2月号に掲載されたものをご紹介します。

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進化する「ビューティテクノロジー」

ここ数年化粧品業界は、異業種を含め多くの新しいメーカーが参入している。また、韓国コスメなど海外ブランドの台頭も目覚ましく、生活者にとって日々選択肢の幅が広がっていると言える。さらに、スマートフォンやSNSの普及により瞬時に情報を入手することが可能となった。このような変化は大変魅力的である一方で、選択肢が多すぎて何を選べばいいか分からないという人たちも少なくないようだ。ましてや、最近の技術の進化により、どれを使ってもそれなりの効果を得ることができるため、ますます選択するのが難しいといった声が聞かれる。

 

このような理由からか近年化粧品を選ぶときに「効果」とともに「いかに自分向け」の「自分にあった商品」であるかを重視する傾向が強まってきている。

例えば100近いカラーバリエーションの中から自分にあったものを選択できる商品や、パッケージに自分の名前を刻むことで特別感を得られるといったサービスが人気だ。

 

また、直近1年間のクチコミの中でパーソナライズ関連のワード(「肌診断」「パーソナルカラー」)がどのくらい出現しているのかを調べたところ、ともに出現数が伸長しており、自分らしいものを選択する際に客観的な視点も取り入れたいと考えている人が増えているものと推測される(図)。

こうした流れを汲み昨年末「アットコスメ ビューティアワード2017」の中で、編集部が選ぶ17年の話題のキーワードのひとつに「パーソナライズ」を挙げた(その他、「立体メイク」「エイジングケア革命」を選定)。

「ベストトレンド パーソナライズ賞」として選ばれた商品は『フローフシLIP38℃リップトリートメント』と『マキアージュドラマティックスタイリングアイズ』の2商品であり、ともに17年に発売された新商品。直近のニーズの高まりを象徴した商品と言える。

 

『フローフシLIP38℃リップトリートメント』は「理想的な唇温度=38℃」のコンセプトのもと、一人ひとりのコンディションに合わせてプラス5℃からマイナス2℃までの5種類のラインアップを用意している。血色の悪い唇にはコーラルオレンジ、色素が薄い唇にはコーラルピンクなどおすすめの色味を提案しており、どの色が自分に合っているのか分からないという人たちでも、手軽に選択することができる。

「パーソナルカラー冬タイプで、オレンジのリップは原則似合わないのですが、唇の血色が悪いのが悩みだったのでプラス5℃を購入してみました。優しい発色なので、他のオレンジリップをつけたときのような不自然さはなく、ナチュラルに血色よく仕上がりました」など新しい気づきを与える商品だ。

 

『マキアージュドラマティックスタイリングアイズ』は、瞳の色と同じアイシャドウを選ぶことで、自然に瞳を大きく見せることができると、色選びの提案をしてくれる。アプリなどを用いたカラーシミュレーションサービスも提供しており、「シャドウ選びにとても困っていたので、このような楽しいアイディアを出してくださったマキアージュ(資生堂)さんに感謝」といったクチコミも散見する。

昨今自分の画像をSNSにアップする機会が増えたこともあり、人から見られる自分ということを以前よりも意識するようになってきている。特にメイクアップについて言うと、自分の好きな色味と似合うと診断された色味2色を購入するという人もいるようだ。

 

しかしその一方でまだまだ多いのが、診断されたものが自分の好みではなく結局自分の好きなものを購入してしまうという意見だ。

特にスキンケアについては自分ひとりで楽しむ要素が強いことから、いくら効果が高かったとしても使用して心地いいと感じるものでないと継続使用は難しいといった声が聞かれる。

「自分の好み」を分かってくれた上で「自分に合うもの」を客観的に提案してもらいというという欲張りな女性心と言えるのかもしれない。

 

そうした中で期待されるのが、モノとインターネットとをつなぐIoTといったデジタルテクノロジーの進化だ。テクノロジーの進化により、「自分の好み」と「自分に合うもの」のズレがチューニングされていけば、もっと化粧やケアが楽しい時間となるだろう。

 

先日も資生堂から1000パターン以上の組合せからその時どきの肌状態と肌環境の変化、さらにはその時の気分やコンディションデータもあわせて分析し、最適な提案をしてくれるというIoTスキンケアシステム「Optune(オプチューン)」のプレスリリースが行われたばかりだが、そうした未来が確実に近づいていると感じている。

今はまだまだ、技術先行のニュースが多いように感じられるが、今後どのように生活者に受け入れられていくのかを私自身も楽しみにしている。

 

なお、アイスタイルも18年のコスメ・美容のキーワードとして「Beauty Tech元年」を発表し、今後一層加速するであろうテクノロジーに注目している。また、美容業界で活躍されている方々に向けて「テクノロジーは美容業界をどう変えていくのか? 私たち自身がこれからどう変わっていかなければいけないのか?」をともに深く考えていきたいという思いで、美容業界のイノベーションを、テクノロジー、マーケティング、サイエンス、ビジネスなどの切り口で情報発信するメディア「BeautyTech.jp(ビューティテックジェーピー:https://beautytech.jp)」を立ち上げた。次号からはこちらの連載も新しい形となり「ビューティテクノロジー」情報を中心にお伝えしていきたい。

 

最後に、これまでアットコスメのデータなどから見える「生活者のいま」をお伝えしてまいりましたが、長きにわたりご高覧いただいた皆様、誠にありがとうございました。

 

 

アイスタイルリサーチプランナー 原田彩子

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国際商業 2018年2月号より転載

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PROFILE

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Harada Saiko

株式会社アイスタイル リサーチプランナー

クチコミをはじめとした膨大なデータは、アイスタイルの財産です!

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