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【@cosmeから見た”生活者”のいま】
テーマ:30代後半からの時短ニーズ(国際商業1月号)

December 19,2017

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アイスタイルには、「日本最大のコスメ・美容の総合サイト@cosme(アットコスメ)」の膨大なデータ群を分析し、マーケティングに活用する通称「リサーチチーム」と呼ばれる部隊がいます。

1300万件を超える膨大なクチコミはもちろん、アクセスデータや意識調査やインタビューを通して、消費者に触れ続けているリサーチチーム。そんな彼らの気づきや仮説、興味を「月刊 国際商業」という業界を代表する専門誌にて「@cosmeから見た”生活者”のいま」というタイトルで連載させていただいております。

国際商業とは・・・

1969年、化粧品および日用品の専門誌として創刊。川上のメーカーから川下の小売業の市場概況や経営戦略や関連省庁の動向・問題点など多岐にわたって情報発信するとともに、業界の発展に寄与すべく諸提案を続けている月刊誌です。

 

http://www.kokusaishogyo.co.jp/kokusai_syougyo/

2017年12月7日発売、国際商業1月号に掲載されたものをご紹介します。

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30代後半からの時短ニーズ

以前から視聴率などをはじめ、35歳を境にマーケティングの区分を行うという考え方があるが、アットコスメにおいても35歳を境にいくつかの違いがみられている。

 

まず一つ目は情報収集力の違いが挙げられる。「化粧品に関する情報源」は、35歳を過ぎると「SNS」「まとめサイト」などをはじめ、全体的に反応率は下がり、情報収集力が低下していく様子が窺える。

情報感度や新しいものに対する反応が遅くなるのはもちろんだが、仕事や家事、子育てなどで忙しい年代であることから、事前にゆっくり情報を収集する時間も十分にとれないといった声が聞かれる。また、実店舗でゆっくり美容部員に相談して購入するといった機会も減ってくるようだ。

 

特にこの年代には、いかに時間をかけずに求める商品と出会うことができるか。自分ごと化でき、受け入れられやすい情報を提供できるかといった、パーソナライズ化の精度向上が求められるのではないだろうか。

二つ目の変化として、美容に対する嗜好性の変化が挙げられる。

 

アットコスメでは会員登録の際に12の「美容・嗜好性」の選択肢の中から自身の気持ちに近しいものを選択してもらっている(安くていいもの好き、メイク大好き、自然・低刺激派、スキンケアの鬼、通販好き、フレグランス好き、セルフチョイス、国産ブランド好き、外資ブランド好き、ボディケア命、ネイル通、カウンセリングより複数選択)。

年代による違いを調べたところ、年代が上がるにつれて「メイク大好き」が減少し30代後半になると5割を下回る。一方、相反する動きを見せるのが「スキンケアの鬼」である(図1)。

これには加齢に伴い変化する肌の状態が化粧品の興味に影響しているからだと考えている。アットコスメメンバーに対するインターネット調査の結果を見ると、年代が上がるにつれ肌の悩みは増加し、「目もと」や「口もと」といったピンポイントから「顔全体」へと範囲も拡大していく様子が窺える。

 

特に30代後半となるとエイジングに対する悩みや意識も強まることから「スキンケア」を今一度見直すといった人が増えてくるなど意識の変化が顕著に表れるころなのではないだろうか。

 

肌変化が訪れる30代後半のライフスタイルに目を向けると、以前であれば子どもが小学校に入学し少し自分の時間を持てるようになる時期であっただろう。しかし昨今の結婚年齢、出産年齢の上昇にともない、まだまだ子どもの手が離れないといった人が多いのではないだろうか。さらに子育てをしながら働く女性たちが増えたことにより忙しさは増している。

 

こうした背景を元に時短化粧品へのニーズは高まり続けていると言える。調査結果を見ても『5年前の自分と比べてスキンケアに使用する化粧品の数』が「減った」と回答している率が最も高いのが30代後半である。しかし30代後半においても使用数が「増えた」との回答の方が高く出現している(図2)。これは前述のように、加齢に伴う肌の変化を感じることが大きな理由ではないだろうか。

変わりゆく肌の状態をなんとかしたいと思った時に、アイテム数を減らすという選択は勇気のいることなのかもしれない。もちろん技術の進化によりオールインワン化粧品でも十分な効果を得られるものがあるということは理解しているだろう。それでもなんとなくの不安を感じてしまうのは、彼女たちがスキンケアを始めたときには、まだオールインワン化粧品というものが存在していなかったからかもしれない。母親のケア方法などを見ながら、年代に応じてアイテム数は増えていくことがあたりまえと思っている世代というのも関係あるのではないだろうか。

 

そのような考え方が根底にあると仮定すると、アイテム数を減らすことによる時短訴求というより、すぐに次のアイテムが使えるといった浸透力の速さを強調したものや、蓋の開け閉めをしなくてすむポンプ式など形状の利便性、ごみの捨てやすさなど、なんとなく日々面倒に感じるようなストレスから解放してくれる商品が魅力的に感じられるのかもしれない。大幅な時間短縮にはつながらないかもしれないが、実際の時間以上に得られるものがあるように思われる。

一方で、メイクにかける時間は以前と比べて減ったとする人が多いようだ。一つには、年代に関係なく、世の中のトレンドとして以前よりナチュラルなメイクになったことが挙げられる。

 

また、以前より周囲の空気を読む人が増えたことも要因として考えられるのではないだろうか。SNSなどの影響もあり、人から浮いたことはしたくない、目立つことはしたくないという人が増えたと言われているが、子育て中の方が多いこの年代も決して例外ではないようだ。

 

インタビューなどでは、「多くのお母さんたちは薄化粧なので自分もしなくなった」「近所の人たちから頑張って化粧していると思われたくない」「普段使用している化粧品の金額が異なるためママ友と化粧品の話題はしないようにしている」といった声も聞かれている。自分でも薄い化粧に慣れ、逆に化粧をすると老けたように見えるという。そして「今後もっと時間を減らしていきたい」とスキンケアとは異なる意見も聞かれた。

 

忙しい世代に向けたメイクアイテムというとBBクリームを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。また、最近は手が汚れることなく美しい仕上がりが得られる「クッションファンデーション」や、メイクや化粧直しが楽になる持続性の高い「リップティント」や「眉ティント」といった新しい時短を叶えてくれるアイテムもどんどん登場している。

 

冒頭でお伝えした通り、情報の感度や新しいものへの受け入れが鈍くなることを考えると、こうした商品に対する受け入れにはもう少し時間がかかるかもしれないが、ニーズは高いのではないだろうか。

昔から変わらない肌悩みと、時代とともに変わるライフスタイルに寄り添うことのできる商品が増えることを期待したい。

 

アイスタイルリサーチプランナー 原田彩子

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国際商業 2018年1月号より転載

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PROFILE

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Harada Saiko

株式会社アイスタイル リサーチプランナー

クチコミをはじめとした膨大なデータは、アイスタイルの財産です!

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