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【@cosmeから見た”生活者”のいま】
テーマ:クチコミ投稿者の特徴(国際商業11月号)

October 10,2017

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アイスタイルには、「日本最大のコスメ・美容の総合サイト@cosme(アットコスメ)」の膨大なデータ群を分析し、マーケティングに活用する通称「リサーチチーム」と呼ばれる部隊がいます。

1300万件を超える膨大なクチコミはもちろん、アクセスデータや意識調査やインタビューを通して、消費者に触れ続けているリサーチチーム。そんな彼らの気づきや仮説、興味を「月刊 国際商業」という業界を代表する専門誌にて「@cosmeから見た”生活者”のいま」というタイトルで連載させていただいております。

国際商業とは・・・

1969年、化粧品および日用品の専門誌として創刊。川上のメーカーから川下の小売業の市場概況や経営戦略や関連省庁の動向・問題点など多岐にわたって情報発信するとともに、業界の発展に寄与すべく諸提案を続けている月刊誌です。

 

http://www.kokusaishogyo.co.jp/kokusai_syougyo/

2017年10月7日発売、国際商業11月号に掲載されたものをご紹介します。

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クチコミ投稿者の特徴

 

近年、特に若者を中心としてインスタグラムやツイッターといったSNSの利用率が増加する中、化粧品でもSNS映えするパッケージの商品が話題となったり、化粧の過程を映した画像がアップされているのを目にする機会は多い。また昨今、アットコスメで検索されるワードとして、SNSで人気の商品が増加傾向にあり、SNSで興味を持ち、もっと詳しい情報を求めてアットコスメに訪れる人たちの流れを感じている。

 

SNSに画像やコメントを投稿する際、いかに「いいね!」されるかを意識しているという人も少なくないという。「人から共感されたい」「認められたい」という承認欲求の強さや、「人の目を気にしての行動である」といった分析記事をよく目にする。では、「アットコスメにクチコミ投稿をしよう」と思うモチベーションは何なのだろうか。やはり「人から認められたい」という気持ちからなのだろうか。今回はアットコスメメンバーに対し実施した調査を基に、クチコミを投稿する理由や投稿者の属性について考えてみたい。

2017年9月現在、アットコスメには約1360万件の「自身が美容を目的として使用した商品の使用感や感想」が寄せられている。なお、クチコミを投稿することによりポイントが付与されるなどといったインセンティブは特に設けておらず、これらのクチコミは基本的に自発的になされたものと言える。それはサイト開設当初(1999年)より変わっていない。

 

一方で18年前から変わった点もある。最も大きい変化は利用者の拡大であろう。99年当時、総務省によるとインターネット普及率が21%であったという。その中でアットコスメを訪れ、かつクチコミを投稿する人が偏っているであろうことは想像に難くないだろう。クチコミ件数が多い商品と売上げとの相関は低く、どちらかというとテレビCMや雑誌での露出が少なく、「情報が不足している商品」「知る人ぞ知る逸品」に対してクチコミがされていた印象を受ける。18年を経て、インターネットの普及に伴い利用者が拡大した現在においては、より一般的な人たちからも投稿がなされるようになり、こうした傾向は薄れてきていると考えている。

続いて、最近のクチコミ投稿者の特徴をいくつかご紹介したい。図1のグラフは、化粧品を購入する際にどのような行動をするかをアットコスメメンバーに対して聴取した結果である。グラフの左(グリーンの棒)に示したのが「直近3カ月以内にアットコスメにクチコミを投稿した経験のある人」、右(グレーの棒)が「投稿経験のない人」である。

「普段から化粧品の情報を集めている」「新しい化粧品の情報は、周りよりも早く知ろうとするほうである」「ファッション誌や情報誌」をよく読むといった『情報収集の能動性』において、投稿経験者でスコアが高く、積極的な人たちであることが分かる(図1—1)。

 

その一方で、「化粧品を買うときは、すぐには決めず、十分に検討する」「いくつかの商品を必ず比較して決める」「まわりの評判を確かめてから買う」「お店の人に勧められてもすぐには買わない」といった『商品選択の慎重性』は投稿者も、投稿をしないでクチコミを読むだけの人も同等であるようだ。(図1—2)

情報感度の高い投稿者は「新商品が出たら、すぐに購入する」といったイメージを持っていたが、決してそういうわけではないようだ。逆に、慎重であるがゆえに多くの情報に接触することで本当に購入すべきものかを見極めているのかもしれない。

 

そうした彼女たちによって書かれたクチコミは、読む側からすると「自分よりも化粧品のことをよく知っている人が、自分と同じくらい慎重に選んでくれた商品の体験談」となるのだ。これがアットコスメのクチコミが参考にされる理由のひとつであると考えている。

もしも、クチコミ投稿者全員が、お金のことなど全く考えず気になる化粧品を全部買えてしまうような人たちであったら、18年間サイトが継続することはなかったかもしれない。事実彼女たちが自由に使えるお金の額は決して多い訳ではない。金銭感覚や化粧品選びの悩みが読む側と同じレベルであることが、クチコミ投稿者が信頼される非常に重要な要素であったのではないだろうか。

続いて、彼女たちがなぜクチコミを投稿するのかどうかについてみてみると、「クチコミをしようとする商品が良かったから」「他の人のクチコミを読んで参考になったから」「自分のクチコミが他の人の参考になると思うから」が上位であり、商品の良さを伝えたい、人の役に立ちたいという思いが強いようだ。SNSで言われているような、「人から感謝されたいから」は19%と決して多くはない(図2)。

 

またインタビューなどで投稿者の話を伺うと、意外に職場の仲間やママ友といったリアルなコミュニティでは化粧品の話題はしづらいといった声を耳にする。「1万円以上もする美容液を使ってるなんて知られたくない」「頑張りすぎてると思われそう」など周囲の目を気にするといった理由が多く挙げられる。個人が特定され、炎上などの恐れがあるSNSでも同じことが言えるかもしれない。そのため彼女たちにとって、周囲の目を気にせずに「商品の本当の感想」を言えるのがアットコスメなのかもしれない。

彼女たちの多くはSNSも利用している。そう考えるとSNSで発信するモチベーションとは異なるのもうなずける。

 

アイスタイルリサーチプランナー 原田彩子

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国際商業 2017年11月号より転載

 

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PROFILE

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Harada Saiko

株式会社アイスタイル リサーチプランナー

クチコミをはじめとした膨大なデータは、アイスタイルの財産です!

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