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【@cosmeから見た”生活者”のいま】テーマ:リンクルショットメディカルセラム(国際商業7月号)

June 9,2017

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アイスタイルには、「日本最大のコスメ・美容の総合サイト@cosme(アットコスメ)」の膨大なデータ群を分析し、マーケティングに活用する通称「リサーチチーム」と呼ばれる部隊がいます。

1300万件を超える膨大なクチコミはもちろん、アクセスデータや意識調査やインタビューを通して、消費者に触れ続けているリサーチチーム。そんな彼らの気づきや仮説、興味を「月刊 国際商業」という業界を代表する専門誌にて「@cosmeから見た”生活者”のいま」というタイトルで連載させていただいております。

国際商業とは・・・

1969年、化粧品および日用品の専門誌として創刊。川上のメーカーから川下の小売業の市場概況や経営戦略や関連省庁の動向・問題点など多岐にわたって情報発信するとともに、業界の発展に寄与すべく諸提案を続けている月刊誌です。

http://www.kokusaishogyo.co.jp/kokusai_syougyo/

2017年6月7日発売、国際商業7月号に掲載されたものをご紹介します。

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リンクルショットメディカルセラム

2017年1月、ポーラは「シワを改善する」薬用化粧品として日本で初めて承認された「リンクルショットメディカルセラム」を発売した。月間1500万人(17年3月度ユニークユーザー数。全デバイスでの集計値)に利用される、女性のキレイをサポートする化粧品・美容の総合サイト「アットコスメ」における「リンクルショットメディカルセラム」の商品情報やクチコミページの閲覧数は100万PV(17年4月末時点でのページビュー合計)に迫る。20㌘で1万5000円という高価格帯の商品であるにもかかわらず、生活者からの関心の高さがうかがえる。

 

14年にアットコスメプロデュースメンバー900人を対象に実施したアットコスメメンバーへのウェブ調査「アンチエイジングに関するアンケート」では、現在感じられている肌の老化現象として「シワ・ほうれい線」は2番目に高くあげられた。しかし同時に「シワ・ほうれい線」は、化粧品への期待と効果実感とのギャップが大きい項目のひとつでもある。エイジングケア効果のあるスキンケア化粧品における「加齢による乾燥」や「肌のハリ・弾力の低下」への効果実感が5割前後であるのに対し、「シワ・ほうれい線」は3割を下回り、まだまだ化粧品が満たすことのできていない大きな悩みのひとつである。

 

そんな大きな悩みに対し、日本で唯一(17年4月末現在)改善効果を謳うことができるのが「リンクルショットメディカルセラム」である。発売から4カ月が経過したいま、日本初のシワ改善化粧品にはどのようなクチコミが寄せられているのだろうか。

 

「リンクルショットメディカルセラム」へのクチコミは、17年4月時点で278件。高額であるためかサンプル使用によるクチコミも多く、購入品によるクチコミは76件である。その9割弱に「シワ」についての記述が見られるが、「リンクルショットメディカルセラム」のクチコミに特徴的なことは、その表現の豊富さだ。

クチコミ内に「シワ」の記述がある、直近2年間の既存美容液(購入品)のクチコミ、および10年前のクチコミ、そして「リンクルショットメディカルセラム」へのクチコミを比較してみると、「リンクルショットメディカルセラム」のクチコミに特徴的に出現するキーワードには「ほうれい線、表情ジワ、笑いジワ、ゴルゴ線、眉間」といった言葉が並ぶ。

クチコミを見ると、「若い頃からあるシワだし、表情皺だから消えることはないんだろうなと思っていた」「50代もすぐそこ、ちょうど1年くらい前からインディアンライン=俗にいうゴルゴ線が気になりだした」「飲み会やランチなどで、飲んで笑ってしゃべって、その後の両目の下、および左ほうれい線のしわにファンデーションが入り込んだ醜さ」といったコメントが見られる。日頃からシワを気にしている女性たちでなければ、これほどさまざまな言葉でシワを表現することなどできないだろう。「リンクルショットメディカルセラム」のクチコミ投稿者は、美容液のクチコミのなかでシワについて言及している人と比べても、シワに対して高い意識を持つと想像される。

ただし意識が高い分、その評価は慎重で厳しいようだ。アットコスメでは、クチコミ投稿時に、自身の使用感想と同時に商品に対するおすすめ度も投稿してもらっている。最高評価は7点であり、最低評価は0点。他に「評価しない」を選択することもできる。「リンクルショットメディカルセラム」へのおすすめ度の平均は5・1で、直近2年間にクチコミ内で「シワ」という言葉が使われている美容液へのクチコミと比べると、「評価しない」と「0〜3点」の低評価層の割合が高い。「評価しない」とされるクチコミとは、「まだ使い出して2週間足らずなので評価はなしで。効果が表れるのが約4カ月後からだそう」というクチコミに代表されるように継続効果を期待してのものが多いようだ。低評価(おすすめ度0〜3点)のクチコミとは、当然ながらシワ改善効果を実感できなかったものである。

残念ながら使用者の全員ではないとはいえ「リンクルショット」は、これまでの化粧品では与えられなかった感動を生活者にもたらすことにも成功している。「何が嬉しいかってファンデーションを塗ってもシワに粉が入り込まない!!(シワが浅くなってるってこと!?)これなら笑っても怖くない!!」「若い頃の表情シワは簡単に伸びていたのに、歳をとってくるとなかなか戻らず、加齢の恐怖を感じていました。精神の安定の為にも信じれるコスメでケアしてあげるのは大切な事です」。

 

一方、直近2年間のシワ記述のある美容液へのクチコミには、低評価の割合が比較的少ない。その理由は多機能性にあるようだ。前述の特徴的なキーワードを見てみると、直近2年間のシワ記述のある美容液のクチコミには、シワの他にも「ハリ、シミ、保湿、たるみ」といった肌悩み・効果ワードが特徴的に出現している。「法令線とか、しわの減少は感じられないんですがそういう問題ではなく全体的な印象が若返ってます」「キメが整い、ツルツルすべすべ、ハリUP、間違いなくお肌が綺麗になっていってる」といったクチコミに見られるように、ここ最近のエイジングケアがいかに多機能性で評価されてきたかを表しているといえよう。シワの改善効果は得られなくとも、何か他のベネフィットを得ることはできるため、低評価になりにくいのであろう。また10年前のクチコミにはこのような多機能性を感じさせるキーワードは見られないことから、ここ数年で求められるようになった、新しいエイジングケアへのニーズであると思われる。さらにそのおすすめ度は、10年前と比べ1・4ポイントも上昇している。シワ改善効果は謳えなくとも、美しさの包括的アプローチとも言える多機能性は生活者にとって十分に魅力的であるようだ。

 

アイスタイルリサーチプランナー 西原羽衣子

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国際商業 2017年7月号より転載

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