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【リサーチコラム】 ビューティトレンド総まとめ
【2017年版】

May 21,2018

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アイスタイルには、「日本最大のコスメ・美容の総合サイト@cosme(アットコスメ)」の膨大なデータ群を分析し、マーケティングに活用する「リサーチグループ」があります。1400万件を超える膨大なクチコミはもちろん、アクセスデータや意識調査やインタビューを通して、消費者に触れ続けているリサーチグループ。そんな彼らの知見をご紹介します。

 

今回のテーマは、「2017年のビューティトレンド総まとめ」です!

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これからのビューティは、煩わしさを排除したストレスフリー設計に

ー1人でいくつもの役割、人格を内包して生きていく現代の女性たち。テクノロジーの進歩で、頑張らなくても美しく生きていける時代へー

 

 2017年度(2016年11月1日~2017年10月31日)、@cosmeには約68万件のクチコミが、約5万もの商品に対して投稿されました。その中から、生活者に最も支持された商品として選ばれたのがアットコスメ ベストコスメアワード2017受賞商品です。(以降の考察は、各アイテム賞1位受賞+殿堂入りした商品に限定した分析を基としています)

 

 過去のアワード受賞商品の時系列比較をしてみると、2017年度受賞商品へのクチコミは10~20代からの投稿が例年に比べ多く、若年層が元気な1年だったと言えそうです。それゆえ今年度のアワード受賞商品には、若年層が購入しやすいプチプラ(低価格帯商品)なメイクアップアイテムの比率が高くなりました。また若年層は比較的新しいものへの受容が高いことから、新製品の受容も高い1年となりました。

 

ここ数年メイクアップカテゴリーでは、「赤リップ」などに代表されるようにリップメイクに人気が集まっていますが、2017年度は特に「リップティント」への注目が高まりました。ティントとは「染める」という意味で、角質層に浸透し肌自体を染めるコスメのことを言います。このティント人気の影響か、2017年度のクチコミには「時間が経っても色が残っている」という評価表現が増えました。

2017年度、「ティント」を商品名または商品説明文にうたった商品の@cosmeにおける登録数は例年の約5倍に増加

「完璧さ」から「抜け感」へ。美しさは「完璧」でなくていい。

 「時間が経っても色が残っている」というのは、「塗った直後の完璧な状態は保てていないが、落ち切ってはいない」という状態を表していると思われます。これまでメイクの持続性の表現とは「色が落ちない」、つまり「いかにメイクしたての仕上りを長時間持続できているか」という『完璧さの持続』を表すものでした。それが2017年度は、「時間が経っても色が残っている」という完璧ではない『抜け感』が表現されるようになりました。

 

 ここ数年女性たちはストレスなく生きること、頑張らないこと、力を抜いたエフォートレスなライフスタイルに共感するようになっています。クチコミに「色が残っている」という評価表現が使われるようになった背景には、このようなライフスタイルの変化が影響していると言えるでしょう。ビューティ以外のモノやコトにも、同様の流れが見受けられます。例えば、作り置きレシピやミールキットは「いつも出来立ての食事でなければならない」「メニューがマンネリ化してはいけない」という恐怖や義務感から女性を解放するアイディアです。またジェルボール型の衣料用潜在は「液体洗剤をキャップに入れ替える」という行為をなくしました。「液体洗剤をキャップに入れ替える」なんて時間にすると数秒もかからないような行為であり、なくなったからといって時短と言えるほどのインパクトはありません。この商品がもたらすのは、単なる時間ではなく「煩わしいと思う気持ち」をなくしてあげることなのではないかと思います。

 

 化粧品に限らず、いま女性たちから支持されているモノやコトには「頑張らせない」という共通点があるのではないでしょうか。日々のちょっとした不満や、煩わしさをなくしてあげられるもの。「頑張らなければならない」という気持ちから解放してあげられるもの。頑張るべきは生活者ではなく、モノやサービスなのです。

1人の女性が 複数の役割、複数の人格を内包して生きていく

 女性の社会進出や働き方改革は、女性が複数の顔を持つことを可能としました。しかしいま女性の持つ「顔」は、働く女性として、母としてといった社会的役割に留まりません。SNSの普及が、複数の人格を使い分けることを当たり前にしようとしています。仕事に打ち込む自分も、ママとして子供を想う自分も、親の前で甘える自分も。リア充な私も、趣味に没頭するオタクな私も、ひきこもりの私も。どれもが本当の自分。彼女たちがいくつもの人生、人格を内包して生きていくには、とても時間が足りません。そんな忙しない毎日を送る彼女たちが求めていることは、ほんのちょっとのわずらわしさもないこと、ストレスを感じなくてもよいこと、なのではないでしょうか。

 

 ビューティがそれを実現するためには、テクノロジーの進化とは無関係ではいられないでしょう。膨大な行動データ解析やAIを駆使したレコメンドやカウンセリングは、果てしない商品選びの時間から生活者を解放してくれるでしょうし、VRやARが新しい試用体験をもたらすかもしれません。テクノロジーの進化が、女性たちが頑張らなくても美しく生きていける世界を実現に近づけてくれることを期待しています。

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Uiko Nishihara

株式会社アイスタイル リサーチグループ

コスメと分析と猫でごはん3杯はイケます♡

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