STORIES istyle blog

TAG

閉じる

  • TOP
  • COLUMN
  • 【リサーチコラム】「SNS売れ」から見る生活者のいまの気持ち

COLUMN

【リサーチコラム】「SNS売れ」から見る生活者のいまの気持ち

April 10,2019

  • facebook
  • twitter
  • Google+
  • はてなブックマーク

アイスタイルには、「日本最大のコスメ・美容の総合サイト@cosme(アットコスメ)」の膨大なデータ群を分析し、マーケティングに活用する「リサーチグループ」があります。1,500万件を超える膨大なクチコミはもちろん、アクセスデータや意識調査やインタビューを通して、消費者に触れ続けているリサーチグループ。そんな彼らの知見をご紹介します。

 

今回のテーマは、「SNS売れ」です!

===========

存在感を増す「SNS」 

2017年の総務省の発表によると20代の70%がTwitterを53%がInstagramを使用していると言います。(総務省「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」 (2018年7月発表))

 

「SNS」をきっかけに商品に興味を持ち、購買に至ったというケースも決して珍しいことではなくなりました。@cosmeのクチコミにおいても「SNS」というワードは前年比の1.7倍出現しており、年々影響力が増していると感じています。

 

友人や気になるインフルエンサー、好きなブランドの「SNS」をフォローしたり、“いいね”することで、その都度わざわざ情報を取りに行かずとも、自分に関係のある、興味がある情報を効率的に収集できるようにしている人が多いのではないでしょうか。そうすることで、例えば限定品が売り切れ状態にあることなど、数年前までは自発的に情報を取りに行かなくては知り得なかった情報が自然と集まってくるのです。

「SNS売れ」というコトバも生まれていますが、「希少性が高いと手に入れたくなる」「多数の人が選んでいるものに安心感をおぼえ、自分も選びやすくなる」など行動心理学の側面から見ても購買意欲が高まる状況にあることは間違いなさそうです。

 

<@cosmeクチコミ投稿より抜粋>

ホワイトニングに興味がありどこかの

美容で見かけたのがキッカケでした。

普通肌|26歳

Twitterで落ちにくいって話で見かけて、現物初めて目にしたら思い出しての衝動買い。

敏感肌|34歳

YouTuberさんの動画を見て購入し、2ヶ月程使用しています。

混合肌|26歳

「SNS」の情報を参考にしてコスメを購入する人の2つの特徴

以前、10代~30代の女性に、「SNS」の情報を参考にして実際に購入した/体験したことがあるものを調査したところ、「ファッション」に次ぎ「コスメ」が2番目に高くあげられました。「インスタ映え」する商品が多い他、色味を参考にするなど視覚的な情報が求められるカテゴリーでよりその影響力が高いと言えるかもしれません。

 

 

では、「SNSを参考にしてコスメを購入する人」にはどんな特徴があるのでしょうか?経験有無により比較してみたところ、大きく2つの特徴がみられました。

 

1つ目は、「化粧品に関する興味が高い点」

「SNSを参考にしてコスメを購入する人」は、コスメにお金をかけるウエイトが高く、購入チャネルも多岐に渡っていることが分かります。一見当然と思われるかもしれませんが、「化粧品に興味がないからこそSNSで話題の商品を購入しておけば間違いない」と思う人たちであるという仮説も捨てきれませんでしたが、どうやらそうではない様です。

 

2つ目は、「情報感度が高いこと」

「SNS」だけでなく、「You tube」「楽天」「@cosme」などその他の媒体も多く利用していることが分かります。日頃からコスメに関わらず様々な情報に接触している人たちと言えそうです。

コスメが好きだからこそ慎重にリスクを排除

さらに彼女たちが、気になったコスメの情報を最初にどこで収集するのかを調べたところ「@cosme」が最も多く、次いで「Instagram」「Twitter」と続きます。事前情報として使用者の声を求める人が多く、いきなり店頭に行く人は少ない様です。

 

これはコスメが好きだからこそ、失敗したくないと思う【慎重性】の表れではないかと考えています。いくら月々コスメにかけている金額ウエイトが高いからと言って、彼女たちも決して無尽蔵にお金を費やせる人たちばかりではありません。慎重に情報収集を行ったうえで購入する商品を選抜しているのではないでしょうか。特に20代以下の若年層は、生まれてから今まで景気の良かった時代を知らないため、1円でも無駄にしたくないという思いが強いと言います。

 

また化粧品の場合、肌質や似合う色などにより評価が人それぞれ異なります。万人がよいと感じるものは存在しないと言っても過言ではありません。もちろん信頼できる友達やインフルエンサー、肌質・化粧品の好みが似ている人からの情報を参考にする傾向が多いと考えています。ただ、季節の変わり目や花粉、ストレスなどにより肌がゆらぐこともあり、特定の誰かだけの推奨で購入を決定するというのはリスクがありそうです。

万人に合う化粧品はないと知っているから、詳しい情報を知りたい

さらに興味深いのは、最初に見にいく情報源として「Instagram」「Twitter」を挙げた人のうち、26%が2番目3番目に調べる情報源として「@cosme」を挙げている点です。

 

多くの人の情報を知りたいのならば「SNS」のクチコミだけでも十分な数があると思われますが、「@cosme」には「SNS」では知ることが難しい情報があるのでしょうか?

 

まず、分かりやすいところで言うと文字数の違いが挙げられます。より詳細な使用感や効果感を知りたいと思った時に@cosmeの情報を頼りにするのかもしれません。また、コンプレックスを伴う商材(ニキビ、ニオイなど)は特に、匿名だからこそ本音が記述されやすいと言った特性もあると考えています。

 

また、@cosmeは「0点~7点」の8段階でおすすめ度をつけてもらうため、定量的に他製品の比較できる点も魅力の一つと言えます。製品数や情報量が増える中、効率的な判断の助けとなってくれるでしょう。

 

さらに、「SNS」では拡散されづらい、もしくは選別しにくい「悪い評価」を入手できるのもメリットの一つではないでしょうか。

 

以前@cosmeのヘビーユーザーに対し、「どんなクチコミが購買時の参考になるのか」と尋ねたところ、「同じ年代の人が書いているクチコミ」「同じ肌質の人が書いているクチコミ」「他の商品との比較が書いてあるクチコミ」と並んで、「使用したときのトラブルが書いてあるクチコミ」が上位に挙げられました。

 

「良い面・悪い面」両方を知ったうえで購入を検討したいと言います。「SNS」などのコミュニティでは、個人個人の結びつきが強いため「すすめる」ことには適していますが、「否定的な評価、悪い評価」は炎上の元にもなりかねません。

 

良くも悪くも個人個人の結びつきが弱い匿名性である「@cosme」では「悪い評価」も発信しやすく、かつおすすめ度(0点~7点)がついているため「悪い評価」のみを選別することも可能となります。そこが「SNS」との大きな違いと言えるのではないでしょうか。

 

最近は、生活者のリテラシーも高いため「悪い評価」があるからと短絡的に購入を止めることはありません。自分にとって重視する点であるかどうか、肌質が異なる人の意見ではないかなど、総合的に判断し決定を行います。

 

こうして慎重に見極め購入に至った商品は、結果満足度も高く、リピート購入へと結びつく比率も高くなるでしょう。

 

一口に「SNS売れ」と言うと単純な購買行動を思い浮かべてしまいがちですが、【コスメ好きな人が慎重に情報を選別した結果起こす行動】と言い換えられるのかもしれません。コスメフリークが今後どんな商品に注目するのか、これからも目が離せません。

  • facebook
  • twitter
  • Google+
  • はてなブックマーク

BACK NUMBER

PROFILE

原田彩子ONDA3688

Harada Saiko

株式会社アイスタイル リサーチプランナー

クチコミをはじめとした膨大なデータは、アイスタイルの財産です!

ページトップへ