世界一の通販大国中国に挑むアイスタイルの越境EC戦略【後編】
March 14,2017
2017年2月15日、東京ビッグサイトで開催された「イーコマースEXPO 2017 東京」にて、istyle China 董事長兼総経理の吉田直史が登壇し、中国国内におけるアイスタイルグループの越境EC事業についてその戦略や気を付けるポイントなどを紹介させていただきました。
本記事は講演内容を一部抜粋した書き起こしとなります。
【前編】【中編】【後編】の全3回です。
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2017年の中国市場動向
最後になりますが2017年の市場動向として3つお話します。
「越境貿易と一般貿易がさらなる融合」
これは越境ECがなくなるではなくて特需が後退するということです。これについてはこれまでに説明させていただきましたので割愛いたします。
「定番商品への需要集中」
これは売れる商品の裾野が狭くなり、定番商品に需要が集中することが予想されます。
たとえば保税区において、商品登録管理がすでに厳格化していますし、今後も厳格化していくだろうと思います。そして冒険を犯したくない消費者の購買心理はますます強くなります。景気影響も含めてですが、2年前と比べてアリババさんの担当者曰く100倍ぐらいの商品が入ってきており、推したい商品が埋もれてしまっているという話もあります。
はっきり言って、消費者の皆さんも混乱してます。いろんな商品がありすぎてひとつひとつのクチコミを見る時間もありません。考えずに売れている商品だけ買いたいという人も増えています。
また、小売側の心理状況にも変化が見えます。販売可能性の低い商品への投資を躊躇し、在庫の懸念をする小売が増えています。当然越境EC勃興期(2年前)に参入したブランドのみなさんには多くの恩恵があったのも事実です。当社の中でもものすごいヒット商品、爆買い商品に育っていったブランドも数多くあります。
だた、今は違います。
当時のようにECサイトの運営元が勝手にPRしてくれるということはありません。
「日本で」定番商品を作れ
対策案としてお伝えできるのは、日本で定番商品をぜひつくってくださいということです。
1SKUでよいので、爆買い対象となるものをつくってください。商品ラインナップや、ブランドラインナップを持ってもかまいませんが、ヒットさせたい特定SKUに対して投資を集中してください。それはお金も時間も含めて全部です。日本で出来る限りのすべてをやりましょう。
また、それは観光客の手に取られるチャネルで販売してください。
これで火が付くかは保証できないですけど、やらないよりはやった方がいいです。ソーシャルバイヤーや中華圏で「先生」と呼ばれるタレント、ブロガーに実際に手に取ってもらうことが大切です。
そして、チャンスをとらえて一気に仕掛ける。
日本でヒット商品育てて、中国の観光客やソーシャルバイヤーに注目されてるようになりました。さらに現地での通販サイト(たとえばタオバオ)などで皆さんの商品が出てきたらこれはひとつ兆候です。そこになってきたら越境ECだけでなく、一般貿易含めてぜひ総合的に全方位に取り組むことをおすすめします。
中国で「amazon go」は流行るか?
そして3つ目に「O2O元年」と書きました。
アリババ社の動向で気になることがあります。彼らは2015年8月に中国最大家電量販店のsuningに投資をして19.9%株主になりました。だいたい4,700億円ぐらいの投資です。このsuningは余談ですがイタリアのサッカーチームのインテルを買収した有名な家電量販店です。そして去年の10月、杭州でのイベントでアリババの馬総裁は「今までは純粋なEC時代は過去のもの。今後10年はネットとリアルが融合した新時代が来る」言いました。
そんな中、皆さんもよくご存じの通り、昨年12月に「amazon go」が登場しました。中国においても、オンラインとオフラインがamazonによって結実していくのかということは、ものすごい多くのメディアが注目しています。
そんな中私はひとつの見解を持っています。既存産業が崩壊するようなイノベーションを中国政府が外資企業に開放する可能性は限りなく低いということです。イノベーターは中国企業に限られるのではないでしょうか。現時点で中国でメディアとして成功されている外資はほぼ皆無です。
amazonであれ、アリババであれ、「ネットとリアルの融合」が動き出した時にみなさんの商品が正規輸入販売できていますか?新しい仕組みのテーブルに乗れていますか?これが今後のポイントかなと思います。
話は一部戻りますが、私は中国にいるとほぼ財布を持って外に出かけることがありません。ATMでお金を降ろしたこともこの数か月ありません。全て携帯電話の「Alipay」、テンセントが出してる「WeChatPay」というところで全部決済できてしまうんです。これは日本と異なる状況だと思います。店舗の中にレジのスタッフはいるんですけど、レジでQRコードを見せれば、それで決済して自分の銀行口座から引き落とされます。つまりO2Oは日本よりも中国のほうが進んでいると思っていますので、このO2Oが本格的に動き出したら、あっという間に浸透すると思います。
最後に
最後になりますが当社アイスタイルとしてもこの中国事業を真剣に取り組んでいます。
政府政策の最新動向をクライアントの皆さんにフィードバックをすることも含めて、越境ECから一般貿易まで広くコミットしていき、マーケティング活動のサポートをさせていただきます。
本日はご清聴いただき、ありがとうございました。
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