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世界一の通販大国中国に挑むアイスタイルの越境EC戦略【中編】

March 7,2017

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2017年2月15日、東京ビッグサイトで開催された「イーコマースEXPO 2017 東京」にて、istyle China 董事長兼総経理の吉田直史が登壇し、中国国内におけるアイスタイルグループの越境EC事業についてその戦略や気を付けるポイントなどを紹介させていただきました。

本記事は講演内容を一部抜粋した書き起こしとなります。

【前編】【中編】【後編】の全3回です。

 

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中国EC市場の課題と攻略法

ここからは第3章というところでメインになってきますが、課題をあげるときりがないんですけどその中でより皆さんにお届けしたい部分を選抜してみました。

一つ目(都度変更される政府政策への理解と対応)に関しては特に2016年はものすごく多かったです。二つ目(為替影響と物流方式)は為替の影響。この3年間で大幅に変動しています。そして物流方式に対する対応の仕方もそして3つ目は販売チャネルのビジネスモデルの変化。これもこの1年間顕著にあらわれてきていますので、この辺は現地にいる自分の体験からみなさんにフィードバックできればなと思います。そして4つ目は販売方法とマーケティング。少しテクニカルな部分もあると思いますのでこの辺も少しかいつまんでお話できればと思います。

 

都度変更される政府政策への理解と対応

一つ目の政府制作のところで言いますと今後直近5か月だけで施工予定の政府政策が多くあります。化粧品関係にある程度しぼっているんですが、それでも多いです。具体的に私が注目しているのは、財政部、商務部そして国家食品薬品監督管理総局(CFDA)この3つの機関です。彼らが発布する情報には、翻訳文ではなく中国語の原文を必ずうちの法務と弁護士でチェックするようにしています。

 

財政部からは税制改正が頻繁に発布されます。

昨年の9月10日に発布された非高級化粧品と高級化粧品に関する消費税区分、税区分の改正に関してです。

 

実は旧税制の前(去年の4月8日以前)は100元(約1650円)以下の商品は免税だったんですね。それ以上の商品に関しては50%の関税がかかるという形でしたので、100元というのが我々ビジネスの従事者にとってのジャッジメントポイントになっていたんです。しかし、4月8日の改正から金額ではなく、こういったスキンケア、ボディケア、メイクアップというカテゴリーで分類されるようになりました。特にメイクアップ系商材については嗜好品とみなされて関税が大幅に上がりました。そこで我々としてはメイクアップ系商品の売上に大きな影響が出たのですが、10月1日の新税制改正によって今度は「普通化粧品」と「高級化粧品」にわかれました。
こまかく見ていくときりがなくなってしまうんですが、ポイントは高級化粧品と普通化粧品の差を知ることです。それによってブランドの皆さまの商品戦略、プライス戦略を大幅に変えるっていうのはリスクがありますし、今後さらなる税制改正の可能性もあったりするんですけど、現時点に関してはこの高級化粧に分類されると売上がちょっと鈍るというところは実際問題としてあります。

 

そして商務部。ここは影響が非常に大きいです。

 

輸入商品の管理規制として一言で言ってしまうと「ホワイトリストと言って商務部が規定する商品以外は入っちゃダメ。入るためにはCFDへの許認可を取得してくれ」ということです。実際許認可を取得するのは最短で6か月から10か月かかったりしますので、事前準備がないと商売自体が不可能というリスクもあります。この政府政策は一年先送りになりましたが今後どう変わっていくかというのは非常に大きなポイントかなと思います。

 

CFDA(国家薬品管理監督局)が出す政府許認可取得の規則変更に関する規則変更も最近頻繁に行われています。

ここ最近の会議では、上海の自由貿易試験区において会社設立等々すれば許認可取得の期間が短くなるといったようなこともテスト導入として出されましたが、こういったところもしっかりとチェックしていく必要があるのかなと思っています。このCFDAはいわゆる日本でいう厚生労働省に近いようなものかもしれませんが、いろんな商品を司る機関として我々も注目しています。

 

CFDAを持っていれば通関で止まる状況が少なくなったり、各チャネルで堂々と販売できるといった点がありますので、みなさまへのアドバイスとしてはどんな政策変更があっても対応できるように許認可関係、商標取得も含めて特に皆様の持っていらっしゃる主力商品に関しては出された方がいいかなと思います。当社でもこういったサービスを行っていますので、ご興味がありましたらお声がけいただければと思います。

 

為替影響と物流方式

直近3年間で為替の変動幅は非常に大きいです。
これまでは円安元高が続いており、海外企業とくに日本企業にとって非常に恩恵を受けた時期だと思います。しかし、そこから一気に円高元安が進み、小売価格への影響が非常に増えた越境EC事業者の方も非常に多いんじゃないかなと思います。当社として注力してきたのはEC運営に関しては円安時、これもなかなか見込みは難しんですけど、当社はデイリーウィークリーで円と元の動き、為替レートを重視していますので特にシングルデーのような大型の発注をするタイミングでは前もって仕入れを多めにするなど実行していました。

そして物流コストにおける適正管理ですが、化粧品って軽いものが多いんですよね。シャンプーやコンディショナーなど重いものとかわってメイクアップ系商材は300g個装、特に単品の配送が多かったんですが、ここの区分が去年6月1日から廃止されてしまいました。これまで900円だったものが1400円になってしまっては利益がでにくい構造になっています。我々の対策としてはEMSを減らして保税区へ入れるものを増やしましたが、となると保税区の在庫管理というところが棚卸も含んで非常に大変になってきます。
本当はひとつ現地でのセントラルウェアハウスみたいなものも用意してそこから分担していくっていうのが望ましいんですけれども、そういうことがなかなかできにくいというところがあるので、この辺は非常に神経を減らしながらEMSについてはセット組を増やしたり、単体販売を避けて物流コストをコントロールしたりというところを進めています。

 

 

販売チャネルのビジネスモデル変化と対応

これも専門的な話になってきますが、今の越境ECプラットフォームはを分類すると図のようになると思います。

縦軸に関しては上が自社運営、下がショッピングモール型、左が総合EC取扱商品、右が専門ECというところで我々の販売パートナーもプロットしています。左下の部分がいわゆる”ECジャイアント”と呼ばれるアリババさんでしたりJDさんというような巨大流量と巨大資本を持つショッピングモーラーです。左上が総合ECで巨大流量と巨大資金はあるんですけど全て購買からマーケティングから物流からなにから自社運営しているので企業向けのBtoCが中心です。右上が専門カテゴリに特化したグループで、ベビー用品でしたり化粧品でしたり健康食品でしたりそこに特化して自社運営しているものです。右下のところが特定カテゴリに特化しているんですけどショッピングモール型にしているグループです。
当社の戦略としては当初、左下のECジャイアントに対しては店舗出店をし、上の自社運営型については卸販売をするという戦略をとっていました。最近傾向としては、左上の自社運営型チャネルもショッピングモーラーにビジネスモデルを変化させつつあると感じています。全てがそうではないんですがそういう傾向にあるというところを肌で感じています。

 

何が起きているのかというところでいいますと、資金面での問題ですね。特に中小型チャネルに関する資金面での問題でしたり、過剰在庫を抱えていると、当然越境ECに関しては政府政策の影響もありますのでベンチャーキャピタルなどが投資をちょっと控えたり、審査をきびしくするといったようなことがおきています。
そして価格下落。これは小売価格、卸価格双方ですが中国状態と日本状態はほぼイコールになってきています。1~2年前は1.5倍の価格付けで売っていましたが最近はほぼほぼ近い形ですね。特に現地でのキャンペーンでしたりとかシングルデーになるともうそれを割るケースとかも出てきますので、日本にわざわざ旅行に行って買うまでもなく中国で買えてしまう状態が起きています。

 

商品供給主にとっては低リスクで卸販売をしていたこれまでとは変わって、自社在庫を抱えて出店販売をしたりとか販売委託に切り替わったりするなど検討の余地が出てくるかなと思います。

販売方法とマーケティング

当社としてはドラッグストアで販売している商材でしたり化粧品専門店で販売している定額商材が商品ラインナップの中心だったりします。マーケティング戦略のポイントは以下4点です。

  1.  総合マーケティング戦略:点よりも面を取る(全チャネル一気に販売)
  2.  商品詳細ページを強化しCVRを上げる
  3.  中国ECマーケットのルーティーン(=催事)を押さえる
  4.  SNSを活用する(Weitao,wechat,Weiboの活用で流入量を増やす)

 

 

=====(つづく)=====

 

「世界一の通販大国中国に挑むアイスタイルの越境EC戦略【後編】」の公開は3月14日(水)を予定しています。

 

 

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