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【同僚対談】”伝えるべきこと”と”届けるべき人”をつなげる
『ブランドオフィシャル』vol.3

September 7,2018

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同僚対談 ”伝えるべきこと”と”届けるべき人”をつなげる『ブランドオフィシャル』の続き、第3回目です。

 

第2回目では、「@cosme nippon」がブランドオフィシャルで最初に行ったこと、また、大事にしていたことをお話してもらいましたが、今回はさらに深いところまで。

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和田 直樹 (写真右)

アイスタイル BIDサービス開発部 マネージャー

コンサルティング会社にて主に化粧品メーカーへマーケティング支援をおこなった後、2016年アイスタイルに入社。化粧品メーカー向けのサービス企画・事業開発に従事。

 

田島 有希子 (写真左)

アイメイカーズ マーケティング部 部長

2007年に新卒でアイスタイルに入社し、EC事業、海外輸出事業、プラットフォーム企画に携わった後、現在のメーカー事業(アイメイカーズ)へ。

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坂井:ブランドとして、ブランドに触れてくれたユーザーさんのことをよく見て、そのユーザーさんに向けてコミュニケーションをしていくようなコンテンツマーケティングをされてきたんですね。ブランドとしてどういう状態になることを目指していますか?

「ブーム」は、いつか冷めるもの。熱し続けるためのコストはそれなりにかかる

田島:一時的なブームではなく体温のような優しい温度で続く、いつでも覗きにいけるコミュニティのような存在のブランドづくりをしたいと考えています。

 

コンテンツには、ユーザーさんからコメントをいただけることがあるのですが、コメントに書いていただいたことには真摯に向き合いたいと思っています。

メイクアップアイテムの仕上がりイメージをアップしたコンテンツに対して、「どんな風にメイクされてるんですか?」というコメントが入った後日に、動画つきコンテンツでメイクのやり方をアップしたり、人気アイテムの再入荷情報を出来る限り早く、わかりやすくご案内したり。

 

また、@cosme nipponの根菜の濃縮マスクについて、根菜の産地に訪れた事があり、実際とても美味しくて栄養価も高い食材なので購入しました、というクチコミを投稿いただいたり、「根菜のシートマスクって肌に良さそう。」とSNSに投稿してくださる方がいらっしゃるので、商品のことだけではなく、根菜のコトや根菜が育った地域についてのコンテンツも作りました。

それらは、いつ見ていただいても価値の変わらない、普遍的なストック型コンテンツとして蓄積していきます。

 

根菜の濃縮マスクの原料である、聖護院だいこんについて

その根菜には、どういう魅力や価値があり、どういう美容効果があるのか。そういった話を通して、なぜその根菜でシートマスクを作ったのか、ブランドとしての考え方を伝えていきます。

 

ここで、特にブログについては、設定するタグがポイントです。

 

上記のコンテンツであれば「混合肌」「インナードライ肌」の方に見つけてもらいやすいように、という意図があります。こうすることで、同じく「混合肌」や「インナードライ」のタグがつけられたコンテンツや商品ページの下部フィードに表示されるためです。

このワードが「保湿」や「毛穴」などビッグワードや、流行りの「ピンクメイク」などのトレンドワードであるほど、相対的に多くの生活者の目に触れる可能性がありますが、ビッグワードほどレッドオーシャンなので、浅く広く届きます。つまり、多くの人とすれ違って「認知」されるかもしれないけれど、その分「選ばれる」のは困難な世界。

 

まずは浅く広く認知してもらう可能性を作る、という目的でビッグワードのタグを設置するのは良いと思います。

 

ここに「根菜マスク」「聖護院だいこん」などという化粧品としてはオンリーワンなのではないか?というタグを設定することで、「根菜マスク」で検索してくれる方や「聖護院だいこんのシートマスクがあるらしい」とどこかで知った方が検索したときに見つけやすくなります。そういう風に意識して、タグを設置します。

 

また、購入してくださったお客様やファンになってくれた方に「このブランドの商品を購入したことは間違いではなかった」と感じてもらい、「このブランドのファンでいることへの肯定感」を持ってもらえるように、お客様のクチコミやよく見ていただいているコンテンツのこと、売れている商品のことなど、お客様のリアクション(熱量)を可視化するようなコンテンツを作ったりもしています。

これらは、いま起きていることを伝えるフロー型コンテンツとしてライトに投稿しています。

 

ご好評いただいている商品の再販のお知らせ

 

和田:実際に、これまで@cosmeにはなかった生活者とブランドとの接点づくりをタグは生み出しはじめていますね。

コンテンツに触れたメンバーさんの傾向や動きを見ているのですが、例えば、ある方は最初に別ブランドのスキンケア商品の商品ページのことをチェックしていたようでしたが、その流れで「乾燥肌」というタグを介して乾燥肌にまつわる商品や記事を見て回ったあと、今度は「混合肌」の記事をその日のうちにみるようになった。その中で、より悩みが具体的になったのかもしれませんが、その後@cosmeのメンバーさんによる「混合肌対策」のブログをみたあとに、具体的に解決できる商品はこれかも?と根菜マスクのコンテンツへと行き着いています。

 

最近、特に顕著なのですが、生活者自身がご自身のニーズやお悩みを言語化できていないことが多い。

頭ではもちろんわかっていると思うし、だから@cosmeのような場所にもきていただけるのだとは思います。そういった生活者のお悩みをほぐしながら、結果として生活者がニーズやお悩みを言語化し、自分にピッタリの商品に出会うためのガイドとなることが、タグの役割のひとつと考えています。

プロダクト単体だけではなく、ブランドのファンを作りたい

田島:EC事業をやらせてもらっていたころ、様々なメーカー様と向き合い、「売るための課題」や「商品に込めた想い」を伺ってきたので一定の理解をしているつもりでしたが、実際にメーカー事業をやらせてもらい気づいたことが多くて。

 

ブランド戦略立案から商品企画、製造、販売、プロモーションまでの過程において、ブランドとしてお客様に向き合い、お客様に感動していただける新しい価値を提供したい想いを強く持ちながらも、現実は商品の在庫と向き合っている時間が思っていた以上に多くて。

 

新商品を発売するたびに、ゼロから商品のことを伝えるコミュニケーション・プロモーションをして、商品が想定より売れたり売れなかったりする。

 

商品が想定より売れた場合は追加製造を計画して、その在庫を売るための追加プロモーション策を打ち、想定より売れない場合は、在庫を常に見ながら追加プロモーションや営業活動の強化をする。

 

小売店や卸会社に卸販売をする場合は、売先ごとの在庫分配コントロールや小売店への提案、店頭在庫のメンテナンスに多くの時間や人件費、システム費を使います。

 

決してこれらが悪というわけではないのですが、本来、一番向き合いたいのは「お客様」であり、一番やりたいことは「お客様に喜んでいただけること」なので、コストとリソースの使い方や効率化は常に課題でしたね。

 

だから、効率化という観点でも、ユーザー理解を深めながら、試行する回数を増やし、仮説の質を上げていけることが大切だと思っています。

 

和田:ですね。わかってはいながらもコミュニケーションの中には定量化しづらかったり、時間が必要なものもあるので、メーカーさまの社内でのレポーティングに苦労されるというケースは益々よく伺います。

 

田島商品ではなくブランドのファンを作りたいのは、ブランドのファンを作り、ファンのことを知り、ファンが支持してくれる商品を作り、ファンが喜んでくれることができれば、「想定より売れない」「施策が当たらない」「在庫過多」という事態を最小限に抑えられると思っているからです。

 

 

発売前からコミュニケーションを始めていた商品に、発売と同時に続々とご注文頂いたときのコンテンツ

 

これはあくまで理想ですが、ブランドのファンを大切にしてブランドオフィシャルを使い続けること、そしてブランドオフィシャルで実現できることがさらに進化していくことで、ファンに新商品の企画の相談ができるようになり「売れる商品しか作らない」「商品を余分に作り過ぎない」ということも実現できるのではないかと期待しています。

そうすれば、広告宣伝費は必要な分だけ、在庫処分のための販促や廃棄コストも最低限になるはず。

 

そしてファンとともにブランドの価値を世に広められたら。

店頭のアットコスメストアのスタッフの中にも、@cosme nipponのコンテンツを見てくれている方がいて、店頭での接客やPOPに活かしてくれたりしているようです。そのスタッフも商品を買ってくれているとか!本当にありがたいです。

@cosmeのブランドオフィシャルをマーケティング活動のベースとして、お客様だけではなく販売してくれるお店のバイヤーや販売スタッフともつながり、コミュニティが作られていく。そういう世界を目指せたらと思います。

SNSも、もちろんブランド毎に必要に応じて活用していくべき場であり、コミュニケーションの手段の1つであると考えています。SNSは生活者が生活者間のコミュニケーション(見るだけも含む)の場所として訪れますが、@cosmeは生活者が化粧品のことや美容情報を求めて訪れてくださっていて、クチコミなどの生活者コンテンツだけではなく、ブランドや商品などのデータベースもあり、購入することも出来る。

だから@cosme上でコミュニティを作ることは、効率性向上も含めて価値を感じているので、引き続き検証していきたいと思っています。

コストやリソースを投下するポイントを、メーカー都合ではなく、ユーザーがより幸せな体験をするためのことに、そしてユーザーの信頼の蓄積をしていく方向へと変えていきたいと考えています。

 

和田:@cosme nipponは、データを見ると、コンテンツを見た生活者が後に商品を購入してくれたケースが多く見られていますよね。

 

田島:そうなんです。最初にお伝えしたように、この約8カ月間で見てみると、コンテンツを見てくださった合計32,566の@cosmeメンバーさんのうち、5,050の方がECサイトのアットコスメショッピングまたはリアル店舗のアットコスメストアで購入してくださっていることがわかりました。

 

和田:活動が実利に結びついて、よかったです。そのようなケースを積み重ねていって、逆引きすることで「なぜお客さまはお買い上げいただいたのか」がみえてくると、先にお話した「勝ちパターン」がみえてきますね。

 

田島:5年前くらいまでは、コンテンツの世界では商品は売れづらいものだと思っていました。メディアやコンテンツを見ている生活者はECサイトに訪れた生活者と違い、「情報を得たい」だけであって「お買い物モード」ではないから。でも今は情報が溢れ過ぎている状態の中で、SNSやクチコミで第三者の意見を見つつ、メディアの情報もチェックし、ブランドからの公式情報やブランドの考えを知って、その中で信頼できる情報を得て、購買決定をしていますよね。一方、その過程を経なくても、オンラインで購入することの障壁が下がり、SNS上で自分が気になる人が買ったということを知るだけで、次の瞬間に「私もとりあえず買ってみよう」となったりもする。

和田さんが言っていたように、購入のトリガーをブランドがコントロールすることはできなくなっています。

 

和田:そう。メーカーさまのみえないところで生活者の意識はどんどん変化するし、タグの話でも触れましたが生活者ご自身でさえ意識が変わっていることを認識していないことも多い。

だからですかね、メーカーさまからも「こんなに熱い想いをもっているのに、どうしてメッセージが伝わらないのだろう、わかってもらえないんだろう」というお話しをよく伺います。

 

ブランドオフィシャルでは分析とかデータ検証ではなく、生活者の動きを通して知る潜在ニーズや心の動きの変化もメーカーさまが認識できるようになることで、本質的にメーカーとして伝えるべきことと届けるべき人とをゆるくつなぐ手がかりになればと考えています。

 

田島:@cosme nipponでの経験や結果を活かして、6月にさらに新しい価値を届けるブランドをアイメイカーズのメンバー全員で考え、立ち上げました。新しいブランドでは、プロダクトだけではない価値づくりや、人を幸せにできるようなコミュニティづくりを本気で意識したブランドづくりをし始めています。

 

もちろん、@cosme nipponも、今後もユニークなジャパンメイドコスメを企画中なので、ぜひ見守っていただけると嬉しいです!

 

次回は、新ブランド「@cosme touch」が目指すことと、ブランドオフィシャルを活用して行っていることのお話をさせてください。

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PROFILE

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Naoki Wada

株式会社アイスタイル BIDサービス開発部 マネージャー

エンジニア、広告代理店、コンサルタントを経て、2016年に中途入社。
化粧品メーカー向けのサービス・事業開発に従事。

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Yukiko Tajima

株式会社アイメイカーズ マーケティング部 部長

2007年に新卒でアイスタイルに入社し、EC事業、海外輸出事業、プラットフォーム企画に携わった後、現在のメーカー事業(アイメイカーズ)へ。

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