求人マーケットの動向を知る化粧品業界求人倍率レポート
2017年5月の求人マーケット動向
(週刊粧業2017年6月26日号)
June 26,2017
アイスタイルグループには、化粧品業界に特化した求人サイト「アットコスメキャリア」の運営や、人材派遣事業などを行う会社、「アイスタイルキャリア」があります。2008年1月にオープンした日本最大級の化粧品・美容業界専門のリクルーティングメディアで、会員登録数は35万人、契約ブランド数は200ブランドを超える「アットコスメキャリア」の編集長を務める齋藤 芽衣が、 「週刊粧業」という生産・流通産業界の総合専門情報紙にて「求人マーケットの動向を知る化粧品業界求人倍率レポート」というタイトルで連載させていただいております。
週刊粧業とは・・・
1953年6月に創刊、毎週月曜日に発行しています。
化粧品、日用品(トイレタリー製品・石鹸洗剤・歯磨き等)、医薬品、美容業、装粧品、エステティック等を中心とした生産・流通産業界の総合専門情報紙として、関連業界の健全な発展と消費者の生活向上に資する最新情報を提供している。
週刊粧業に掲載されている記事を、STORiES -istyle blog-でもご紹介させていただきます。
今回は、週刊粧業 2017年6月26日号に掲載されたものをご紹介します。
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化粧品業界最大の求人メディア「アットコスメキャリア」および人材紹介サービス「化粧品人材バンク」を利用する約30万人超の会員データをもとに、毎月、最新の求人マーケットの動向をお伝えします。
■サマリー
・化粧品販売職の求人倍率は1.40倍(+0.35)
・化粧品本社職の求人倍率は1.02倍(▲0.08)
※カッコ内は前月比
・販売職では、オープニングスタッフの募集が多く、コアメンバーとなる経験者採用に成功する事例も。
・本社職では、企業の採用ニーズが高い一方、業務過多に悩む営業職の相談が増加。
■「販売職」の求人マーケットの動向
2017年5月度の求人倍率は1.40倍で、前月に比べて+0.35倍となった。ゴールデンウィーク明けから求人件数が増加し、売り手傾向が強まっている。
5月は夏に向けてのオープニングスタッフ募集の案件が多数掲載され、売り手市場の中でも応募数は好調だった。オープニングスタッフの募集は求職者からの人気が高く、既存店舗の平均応募率が1.24%に対して新規店舗では2.37%と約2倍近く高い。
また、人間関係がリセットできる点をメリットに感じる経験者からの応募も比較的集まりやすく、中には「店舗立ち上げの経験を得たい」「マネジメントポジションを目指したい」といった意欲的で優秀な経験者が採用できた事例もある。
ただし、オープン前の店舗の場合、実際に店舗を見ることができない点や、どんなスタッフが働いているかを事前に知ることができない点など、求職者にとっての不安要素が多く辞退が発生しやすいという側面もある。
求人広告や応募後の対応では、いつ・どこにオープンするのか、どんな店舗になるのか、オープンまでのスケジュール、採用予定人数などを可能な限り詳細に伝え、不安解消を心がけることが重要となる。効率よくコアメンバー候補を集めることができる絶好の機会なので、最大限に活用したい。
■「本社職」の求人マーケットの動向
化粧品本社職の求人倍率は1.02倍で先月に続いて求人倍率の低下が見られた。5月は企業の採用ニーズは高かったが、一方で営業職を中心に求職者からの相談も増加傾向にあった。
セレクトショップなどの小売り店舗向け営業を担当している求職者の中には、店舗交渉や本部調整だけに留まらず営業担当が店頭メンテナンスや販売までをこなし業務過多になってしまっているケースが多い。
交渉がまとまっても店頭へ手が回らず成果が出せない、本業の交渉に集中できる環境を紹介してほしいといった相談では、営業職の採用ができないことにより、人員不足で既存の営業人員にさらに負荷がかかる悪循環となってしまっているようだった。
こういった現状に対する企業側の取り組みとして、営業の増員だけにこだわらず、店頭メンテナンスや販売を専門的に行うラウンダー職の採用やアウトソーシング活用などが有効なのではないかと考える。「化粧品人材バンク」でも、営業の補佐としてフルタイムのラウンダーを採用する事例が出てきている。
引き続き採用難ではあるが、業務の切り分けにより分担し、営業職が交渉業務に専念できる環境を作っていくというのも改善策の一つではないだろうか。
【執筆】
アットコスメキャリア編集長
齋藤芽衣
https://is-career.istyle.co.jp/
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週刊粧業2017年6月26日号より転載