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【第3回】IPO大賞受賞記念講演「IPOへの道のりと、これからのアイスタイル」

June 19,2017

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2017年3月16日、アイスタイルは、東京ニュービジネス協議会が主催する「第11回IPO大賞」のグロース部門を受賞しました!IPO大賞は、「新規株式の上場で日本経済の活性化に貢献している、或いは牽引役となっている企業を顕彰することにより、その意義を世間に広報すると共に、ニュービジネスやベンチャー企業の振興と育成に寄与すること」を目的に2006年に創設されたアワードです。

 

上場したばかりの成長著しい企業に贈られる「ルーキー部門」と、今回アイスタイルが受賞した、株式上場後4年経過し、企業として拡大発展し日本経済活性化の牽引役を担う新たなビジネスモデルのベンチャー企業に贈「グロース部門」の2つの部門賞が設けられています。

IPO大賞についてはこちら▼

https://www.nbc-world.net/old/outline/ipot.htm

 

授賞式の場で、記念講演として代表取締役 兼 CEOの吉松がIPOに至るまでの道のりや、これからのアイスタイルが目指すべき姿。そして、今後起業を目指す方へのメッセージなどをお話しさせていただきました。

本記事はその記念講演の内容の書き起こしとなります。全5回の連載でお届けします。

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―アットコスメ誕生

アットコスメ誕生のいちばん直接のきっかけは、今も一緒にやっている共同創業者の山田が趣味で書いた、この週刊コスメ通信というメールマガジンです。

 

1999年の3月に第1号を発行して。まだ女性でインターネットを使っている人ってすごく少ない時代だったんですが、すぐに沢山の読者がついて、アツイ反応があって。で、それを横で見ていた僕が、「これビジネスとしていけるんじゃないか」って思っちゃったんですよね。

―ネットバブル崩壊と債務超過の危機

会社を作った1999年は、ちょうどネットバブルと言われていた時期です。僕もまさにその渦中に入ったわけです。で、アットコスメは1999年12月3日に、自分で秋葉原のツートップっていうところでサーバー買ってきて、自分でHTMLをたたいて、プログラムを書いて作ってスタートしました。

 

資金面でも、さきほどもちょっとお話ししましたけども、NBCから賞をいただいたことをきっかけに、あるベンチャーキャピタルが3000万円出資してくれました。でも、さあ、次3億円の資金調達だって言ってた時に、ITバブルがはじけた。ITバブルが弾けて、何が起きたか。当時光通信さんの株が一時、1株24万円になりました。その株が半年後、たしか1000円切ってましたからね。それぐらいのものすごい弾け方でした。

 

そんなときに設立1年目の我々アイスタイルがどれぐらい売り上げたか。94万円です。要は全然お金がない。しかも、94万円の売り上げの中身はというと、勤めていたコンサルティング会社のお情けでもらったアンケート調査と、あとは、会社が入ってたマンションの下の階にあった不動産会社がLANケーブルひいてって依頼してくれて、LANケーブルひいて12万円いただいて。それで94万円なんですけれども。

 

そんな中で3億円調達しようとしてたんですけど、全然調達できないんです。バブルって、弾けたからって急に状況が悪くなるわけじゃないんです。徐々に徐々に、じわじわと悪くなる。3億円調達するという話を最初にしていたときは、みんなすぐ「1億円出資できますよ」って言ってくれた。当時は面白くてですね、銀行やVCの担当者と話していても、「これからはネットの時代ですよね!1週間以内に1億円用意できます。いくらほしいですか?・・・ところで、インターネットで何やるんですか?」みたいな。そんな時代でした。

 

ところが、じわじわバブルが弾けた影響が及んでくると、こっちが「この間の話ですけど、1億円お願いします」って言っても、「出すことは出せますけど、審査があるので2週間後になります」てなって。次には、「もう一回●●っていう資料だしてください。審査にもう2週間かかります」ってなって。これですぐ1か月たっちゃうわけです。
更には「3億円必要なんですよね。じゃあ、1億5千万他から調達できたら、うちも出しますから」になって。で、しまいには「状況変わってきたんで、5千万しか出せませんけど」と。それでもなんとか、別の5千万の出資と3千万円の出資と・・って集めて1か月たってもう一度話をしに行ったら、「もう1か月たったのでこの前の5千万円の話はなくなりました」ってね。

そんなこんなで、8月には債務超過になってしまいました。7月は半月分ぐらい払えたのかな・・・、でも、8月は給料1円も払えなかった。そもそもお金なんてなかったんですけど、急激にキャッシュがなくなった。でもやっぱりどうしてもビジネスを回していかないといけない。だから、当時あったすべての日本のVCを回りました。

 

前は出資してくれるって言ってくれていたあるVCの方に、「吉松くんさ、こないだ僕の家の前で朝まで土下座してた人いたよ」って言われましたからね。「君、しないでしょ?」って。「そういう覚悟のない人に僕お金出せないよ」と本気で言われましたから。やっぱりそういう、なんていうか、お金のことで手のひらを返されるっていう経験って、ものすごく僕にはいきてます。本当の意味で、お金の大事さも教えてもらいましたしね。

ーエンジェルとの出会い

まぁ、給料なくてもですね、若かったし、しばらくはなんとか食っていけるだろう・・・みたいな話をしつつ1か月半ぐらいなんとかしのいでたですけども、そんな時にある九州の投資家の方がですね、新しく投資先を探していると。ま、ファンドを作ろうとしているって話が舞い込んできてですね、藁にもすがる思いで行ったわけです。

 

で、行ってさあこれからだぞって思っているとですね、いきなり、お付きの方から「すみません、失礼ですけど時計外してください」と言われて。「どうしてですか?」って聞いたら、「その人とお話しているときに時間を気にするのは失礼なので」と。それで奥に案内されて進んだら、今度は「上着脱いでください」と。盗聴器が仕込まれていると困るからと。

だんだん不安になりながら歩いていくとですね、銀行の金庫みたいなドアがあって。わかります?あの、映画とかに出てくる丸いドア。で、その鉄柱が3本ぐらい入っているドアをグーッとやって開いてですね、その中に通されるんです。赤いじゅうたんがフカフカな空間で、「おれ、九州じゃなくてどっかの国に拉致されたんじゃないかな?」って。本当そんな感じですよ。

 

部屋に入って扉がしまると、奥からおもむろにその投資家の方が出てきて無言で座られて。で、聞くわけです、「お前らどっから来たんだ?」って。それで「東京です」って答えるとしばらく無言が続いて、今度は「何やってんだ?」って。「インターネットで化粧品の・・・」って説明しようとすると、「あ、いい!」って遮られて、またシーン。「いつからやってんだ」って聞かれて「いついつからです・・」って説明しようとすると、「いや、いい」って言われて、シーン・・・。

 

今までVCに会う時やるべきことって、一生懸命ビジネスモデルを説明することだったわけです。でも彼は、そのことについてはなにも聞かないんですね。聞くのは、「一緒にやってるのか?」とか。あ、山田と一緒に行ったので。で、「一緒にやってます」って答えると、またシーン。そんな時間が続いて。正直、中にいるとどれくらい時間がたったかよく分からないんです。時計も持ってませんから。もうなんか意識が朦朧としてきて、こんなんで出資してもらえるとはとても思えなかったですけども、とにかく、結果的にそこに8時間強いました。

 

最後の最後に彼は「いくらほしいんだ?」って。それで「1億です」って答えたら。奥から小切手をお盆に載せた人が出てきて。それにその人が1億円って書いて。正確には9975万円ですね。それで、「がんばれよ」って手渡してくれました。はじめて会ったその日にです。契約書も条件もなし。

本当にそれでアイスタイルは救われました。これこそ、さっきの農業総合研究所さんのお話しじゃないですけど「やってみなきゃわかんない」てことですよね。こんな出会いなんて、事業計画に書いてないですからね。自分で事業を起こして、色々もがいたり、四苦八苦して、その結果としてこの出会いがあった。

 

その部屋を出た後に、お付きの方から「あ、お金もらったんですね。じゃあ、今後、契約書つくりましょう」って言われて。それで外に出てみたら、真っ暗です。九州の駅からタクシーで1時間・・みたいなところですから、タクシーすら通ってませんでした。で、小切手もらったはいいけど、どこに持っていけばいいかわからないんですよ。26歳でしたからね、なんにも知らなくて。しょうがないからスーツの内ポケットに小切手いれてボタンかけて、2日間、そのスーツをずっと着てました。

 

 

==========(つづく)==========

『IPO大賞受賞記念講演「起業からIPOへの道のりと、これからのアイスタイル」』第4回の公開は6月27日(火)を予定しています。

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PROFILE

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Yoshimatsu Tetsuro

代表取締役社長 兼 CEO

東京理科大学基礎工学部生物工学科卒業。
1996年、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)入社。
1999年、アイスタイル設立。代表取締役社長に就任(現任)。
「日経インターネットアワード2002ビジネス部門」日本経済新聞社賞、「EY Entrepreneur Of The Year 2013 Japan」アクセラレーティング部門ファイナリストなど、受賞歴多数。

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Noda Tomoko

株式会社アイスタイル 広報室

この記事を編集した人。趣味はラグビー観戦。週末は秩父宮に出没。ゴーゴーSUNWOLVES!

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