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日本の美容コンテンツを海外へ届けたい!
~@cosmeの多言語化プロジェクトの舞台裏~

June 30,2016

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※本記事は2016年6月30日にアイスタイル HR blogに投稿された記事の再掲です。

 

 

世界、特にアジア圏における美容市場の著しい成長と、インバウンド需要などから見て取れる日本の製品に対する人気の高まり。こうしたニーズに応えるべく、アイスタイルグループでは数年前から海外での事業展開を行ってきました。

2012年に、中国現地法人であるアイスタイルチャイナを上海に設立。日本メーカーの中国進出支援事業や美容情報TV番組制作事業などを経て、2014年に越境EC事業に参入しました。現在、10社以上の現地販売パートナーと提携し、日本の化粧品メーカーなどから仕入れた商品を中国国内のECサイトで販売する卸売事業を展開しています。2015年にはフィリピンにも進出。海外売上は、アイスタイルグループの売上全体のうち2割弱を占めています。(※2016年6月期、第三四半期までの実績)

 

時を同じくして、アイスタイルが運営する美容総合情報サイト@cosmeへの海外からのアクセスも徐々に増えてきていました。ランキングや評価点数など言語に依存しない情報もありますが、やはり@cosmeのコンテンツの中心となるのは、商品情報やクチコミなどの文字情報です。そうした情報を海外のユーザーにも伝えたいという思いから、4言語で閲覧できる@cosmeグローバルサイトのβ版を2014年にオープンしました。さらに、ECサイト「cosme.com」(現:@cosme shopping)においても、購入者の外国人の方の割合が増え、また外国語での商品・購入に関する問い合わせも増えてきたため、英語版をリリースしました。

 

まさに、@cosmeのグローバル展開の第一弾とも言うべきこれらのプロジェクト。プロデューサーとして、企画・開発、運用までを担当する川上さんに、詳しいお話をお聞きしました。

グローバル事業本部 @cosmeグローバルグループ マネージャー 兼 ユーザーサービス部 マネージャー/川上さん

日本の美容情報に対する海外ユーザーからのニーズに応える、@cosmeの翻訳版

これまで日本語のみで展開されていた、@cosmeをはじめとするアイスタイルグループのサービス。海外向けの取り組みは、2014年7月に@cosmeグローバルサイトのβ版がスマートフォン向けにリリースされたのが始まりでした。

 

川上: 「@cosmeグローバルサイトは、日本の@cosmeの翻訳版として、@cosmeに登録されている商品情報やクチコミ情報を、英語・中国語簡体・中国語繁体・韓国語の4言語で閲覧することができるというものです。日本の化粧品に関心の高い海外ユーザーや、日本に住む外国人の方に向けたものですね」

 

実は川上さんは、ちょうどこのβ版がリリースされた頃にアイスタイルに入社。その後、前職における海外市場でのサービス展開の経験を活かして、@cosmeグローバルサイトの正式オープンとECサイトの英語版オープンに向けたプロジェクトを推進することになりました。

そして2015年5月に、ECサイト「cosme.com」(現:@cosme shopping)の英語版をリリース。同じ年の10月に、@cosmeグローバルサイトも、全デバイス対応で正式オープンしました。

 

川上: 「ECサイトの開発は、期間が短かったということもあり社外の東京・大阪・海外のリソースを活用して一気に立ち上げました。@cosmeグローバルサイトに関しては、社内から10名程度のメンバーが集まり、企画・開発を行いました。

現在は、@cosme shoppingは株式会社コスメ・コムが主体で運営していますが、@cosmeグローバルサイトについては、今も私含め5名程度で運営を行っています。

そのほか、翻訳チームも私がマネジメントを担当し、日々翻訳コンテンツ数の増加に取り組んでいます。社内に4名、社外も含めると10数名で、4言語への翻訳を行っています」

コンテンツ量アップとSEO対策により、アクセス数が飛躍的にアップ

これらの開発プロジェクトがスタートしたのは、2014年の年末ごろ。インバウンド需要が高まり、アイスタイルグループ全体で対策に力を入れるようになったタイミングでした。すでにβ版で運営されていたグローバルサイトにおいては、リニューアルにあたってさまざまな強化施策を行ったそうです。

 

川上: 「まず、@cosmeのコアは商品やクチコミなどのデータベースですので、登録件数を増やすことに注力しました。それまで目標にしていた各月の登録件数の3倍を目標としました。あわせて、グローバルサイトは4割の方がPCから見ている事もあり、β版ではスマートフォンサイトのみだったものをPCにも対応させました。さらに、@cosmeは商品名の検索で流入してくる事が多いですので、SEO対策も強化しました」

 

その甲斐あってか、2016年4月時点で前年同月比約5倍にまでアクセスが増加。

 

川上: 「市場の成長という追い風もありましたが、改善施策も効いたと思っています」

コンテンツの量アップにより別の問題も発生

翻訳人数を増やすことで、コンテンツの量はアップしたのですが、単純に増やせばいいというだけではなかったようです。

 

川上: 「翻訳者の数が増えると、人によってクオリティーにばらつきが出る、また指示出しや翻訳チェックの増加、進捗管理が難しくなるなどの新たな課題が出てきてしまいました。そこで、チーム内で検討した結果、翻訳管理ツールを導入することにしました。

このツールを使うと、過去の翻訳も含め、一度翻訳した文言が翻訳メモリーとしてデータベースに登録されます。別の人が翻訳する際に同じ文言が出てくると、それが自動的に表示されます。つまり、データベースがたまればたまるほど、表記のゆれもなくなり、また重複して翻訳する必要もなくなります。ツール導入後、翻訳時間もコストも10%カットする事ができ、さらに追加で翻訳量を増やすことができました」

 

翻訳できる量が増えたことにより、通常業務として行っている商品情報やクチコミ情報の翻訳以外にも、社内の各部署からの翻訳依頼も受けるようになったとのこと。

 

川上: 「今後も、質・量ともに高め、より多くの日本のビューティーコンテンツを海外に届けていきたいです」

前例がないという困難を逆手にとり、新しいことにも積極的にチャレンジ

さまざまな取り組みを重ね、順調に成長しているグローバルサイトですが、メディア事業の海外展開はアイスタイルグループとしては初めての試み。そのため、試行錯誤しながら取り組んでいるとのことです。

 

川上: 「他社も同じような状況で、誰も答えを持っていないんです。とにかく前例がないので、すべて手探り状態でやっています。

例えば、サーバーについて。その年最も支持されたコスメを選出する『@cosmeベストコスメアワード』という賞があるのですが、海外でもこのアワードの知名度が年々高まっており、発表日には通常の数十倍のアクセスがあります。まさに、日が昇った国から順にアクセスが押し寄せる……という感じで、過去にはサーバーがダウンしかけたこともあります。

その経験もあり、負荷にあわせて自動的に世界の最適なネットワークに切り替えられるようにCDN(Contents Delivery Network)を導入したのですが、さらに表示スピードをアップさせるために、Webサーバーそのものも海外の最適な場所に置こうと、トライ&エラーを繰り返してしています。一回、小さな規模で契約してみて、海外から表示のスピードを測って……というような地道なことを日々やっています」

 

大変なことも多いけれど、ゼロから作ることで得られるものもあるといいます。サイトのデザインについては、あえてこれまでのルールを適用せずに全く新しいものを作ったところ、ブレイクスルーがあったそう。

 

川上: 「これまで@cosme関連サイトはより多くの人に使っていただきたいという考えからニュートラルな優しい色使いがメインでしたが、@cosme shopping英語版の立ち上げ時には、世界のビューティートレンドや社内の外国人メンバーの意見も取り入れ、思い切ってインターフェースはシンプルで商品が映える黒ベースのフラットデザインを採用しました。実際リリースしてみたらお客様からも社内からも評判が良くて、ほっとしています。

インターフェースはシンプルに、黒をベースとしたフラットデザインにした、@cosme shoppingの英語版サイト。

既に多くのユーザーやクライアントがついている日本の@cosmeでは、思い切ったチャレンジをしたくても、ハードルが高いのは仕方がありません。その分、日本ではできないチャレンジをまずはグローバルでやってみて、それを日本のサービスにも還元していければいいなと思っています」

語学のバックグラウンドと専門性を活かして、@cosmeのグローバル化に取り組む翻訳チーム

川上: 「現在、社内のメンバーは4名います。出身は、それぞれ中国、アメリカ、台湾、韓国とバラバラですが、国籍以外にも豊かな個性を持っています。

例えば、中国出身の女性は、中国では漢方医で、その専門性を活かして美容コンテンツの翻訳者として活躍してくれています。英語担当の男性は元英会話講師。言葉のスペシャリストです。

そのほかのメンバーも、自分の国にいるときから日本の化粧品をチェックしていたようなメンバーで、みな楽しんで仕事をしています。日ごろから化粧品に関する情報交換をしたり、みんなでランチに行ったりと、実は他の部署とあまり変わらないかもしれません。

もちろん、文化や仕事に対する考え方などは違うこともあるので、何かを強制したり当たり前だと思って話を進めたりするのではなく、必ずメンバーの意見を聞くようにしています。また海外の文化を受け入れる事も必要だと思いますので、昨年は他部署のメンバーも大勢巻き込みハロウィンとクリスマスイベントも行いました(笑)

ハロウィンイベントの様子

グローバルチームは、@cosmeや日本の化粧品文化を世界に発信したいという思いのもと、チーム一丸となって、そして会社全体を巻き込みながら、サービスの成長に取り組んでくれています」

おわりに

日本の商品や美容情報に興味のある海外ユーザーや日本に住む外国人のニーズに応えるために誕生した、@cosmeグローバルサイトや@cosme shopping英語版。今後も、日本の商品や美容コンテンツをより多くのユーザーに届けていけるよう、サービスのブラッシュアップを続けていきます。

しかし、アイスタイルグループが目指しているグローバル展開は、実はこれだけではありません。日本の商品や美容コンテンツに限らず、それぞれの国で独自の情報が集まるプラットフォームも作りたいと考えているのです。川上さんはメディア担当として、そうした海外進出プロジェクトにも参画しています。

 

今後、このブログでも取り上げたいと思っていますので、お楽しみに!

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