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【@cosmeから見た”生活者”のいま】
テーマ:クチコミが参考にされる理由(国際商業12月号)

November 14,2017

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アイスタイルには、「日本最大のコスメ・美容の総合サイト@cosme(アットコスメ)」の膨大なデータ群を分析し、マーケティングに活用する通称「リサーチチーム」と呼ばれる部隊がいます。

1300万件を超える膨大なクチコミはもちろん、アクセスデータや意識調査やインタビューを通して、消費者に触れ続けているリサーチチーム。そんな彼らの気づきや仮説、興味を「月刊 国際商業」という業界を代表する専門誌にて「@cosmeから見た”生活者”のいま」というタイトルで連載させていただいております。

国際商業とは・・・

1969年、化粧品および日用品の専門誌として創刊。川上のメーカーから川下の小売業の市場概況や経営戦略や関連省庁の動向・問題点など多岐にわたって情報発信するとともに、業界の発展に寄与すべく諸提案を続けている月刊誌です。

 

http://www.kokusaishogyo.co.jp/kokusai_syougyo/

2017年11月6日発売、国際商業12月号に掲載されたものをご紹介します。

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クチコミが参考にされる理由

先月号では「クチコミを投稿する」モチベーションや「クチコミ投稿者の特徴」について紹介したが、今月は「なぜクチコミが参考にされるのか」といった点について考えていきたい。

はじめに、先月号の振り返りとなるが、クチコミの「投稿経験のある人」と「ない人」を比較すると、「普段から化粧品の情報を集めている」「新しい化粧品の情報は、周りよりも早く知ろうとするほうである」「ファッション誌や情報誌をよく読む」といった『情報収集の能動性』において、投稿者でより高い反応がみられた(図1–1)。

その一方で、「化粧品を買うときは、すぐには決めず、十分に検討する」「いくつかの商品を必ず比較して決める」「まわりの評判を確かめてから買う」「お店の人に勧められてもすぐには買わない」といった『商品選択の慎重性』は投稿者も、投稿をしないでクチコミを読むだけの人も同等であることが分かった(図1–2)。

つまり情報感度の高い人たちが慎重に選んで使用した商品に対する感想を読むことで、まるで自分も使用したかのような感覚を味わうことができるのである。

こうした購入前の商品疑似体験を通して、消費者は自分に合わないものを選択してしまうかもしれないというリスクを排除する作業を行っているのではないかと考えている。

実際に、アットコスメメンバーに対して「どんなクチコミが購買時の参考になるのか」と尋ねたところ、「同じ年代の人が書いているクチコミ」「同じ肌質の人が書いているクチコミ」「他の商品との比較が書いてあるクチコミ」と並んで、「使用したときのトラブルが書いてあるクチコミ」を上位に挙げている(図2)。

価格の高い商品はもちろんのこと百均コスメなど、ともすると「安すぎて品質に不安を感じる」場面での確認としても有効であろう。この「リスクを排除したい」という心理は、若年層においてより表れている傾向であり、今後ますます強まっていくのではないかと感じている。

 

また、「リスク」には失敗してお金を無駄にする、肌荒れを引き起こすといった物理的な意味合いの他に、周囲からの評価を下げてしまうのではないかという心理的な「リスク」も含まれるのではないだろうか。

SNSの普及によりコミュニティからはみ出さないよう空気を読みながら行動をする、炎上を恐れ発言などに気を遣うといった人が増えていると言われているが、商品選びの際も他人の目を気にしなくてはならないケースがあるだろう。

例えば、香水をはじめ、柔軟剤やハンドクリームなど「香り付き」の商品を選ぶ際に、自分の好みだけではなく周囲の状況を考えて商品を選択する人も少なくないのではないだろうか。客観的な意見をクチコミから得ることにより、事前に周囲に不快感を与えてしまうかもしれないという「リスクを回避する」ことが可能となる。

 

また、他者へのプレゼントの際にも事前にクチコミを参考にすることで、好みに合わないものを贈ってしまうかもしれないというリスクを下げることができる。特に化粧品は、直接肌に塗布するため自分にとっていいものが必ずしも、他者にとってもいいものだとは限らない。自分が贈りたいと思っている商品が、相手の年代や肌質や嗜好性にあったものかどうかを客観的に判断できるのもクチコミの利点のひとつだろう。

また、「クチコミでも人気の商品である」と贈る際に一言添えることで、相手が合わないと感じた際に自分の選択眼を疑われるリスクが回避できるかもしれない。

 

以上みてきた通り、クチコミが参考にされるのは、商品購入までのステップであると考えられがちであるが、実は約75%の人が「商品を購入した後に、チェックすることがある」と回答している。

これは自分の評価に自信が持てないために、他人のクチコミを見ることで自分の評価のチューニングを行っている人が多いのではないかと考えている。つまり商品評価は使用しているその場でされるものではなく、その後他の人の評価に触れることで初めて決定されるということだ。

 

例えば、自分が良いかもしれないと感じた点がクチコミでも評価されていることが分かると、よりその商品のことが好きになるだろう。逆に自分がいまいちかなと感じる商品が人気と知った場合は「自分の使い方が間違っているのかもしれない」と正しい使い方を確認したり、同じように悪い評価をしている人のクチコミを探して、自分を納得させようとするのではないだろうか。

事前にクチコミをチェックせずに購入に至ったケースはもちろんのこと、クチコミをチェックした場合であっても起こり得ることであり、それほど人は自分の評価に自信が持てないものなのであろう。

 

以上「疑似体験ができる」「商品の評価を客観的に知ることができる」「自分の評価とのチューニングができる」などクチコミが参考にされる理由をいくつか挙げてきたが、もっとも重要であるのは、商品のマイナスポイントが書かれているクチコミが存在するかどうかではないかと考えている。良い情報からだけではリスクの排除や評価のチューニングをするのが難しいからだ。しかし、それらを教えてくれる情報源は限られている。その限られた情報を得られることこそが、クチコミの最大の魅力なのではないだろうか。

 

アイスタイルリサーチプランナー 原田彩子

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国際商業 2017年12月号より転載

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PROFILE

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Harada Saiko

株式会社アイスタイル リサーチプランナー

クチコミをはじめとした膨大なデータは、アイスタイルの財産です!

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