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【リサーチコラム】「二次流通」で化粧品を買う人とは?  @cosmeのデータからみる「メルカリ」

April 1,2020

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アイスタイルには、「日本最大のコスメ・美容の総合サイト@cosme(アットコスメ)」の膨大なデータ群を分析し、マーケティングに活用する「リサーチチーム」があります。1500万件を超える膨大なクチコミはもちろん、アクセスデータや意識調査やインタビューを通して、消費者に触れ続けているリサーチチーム。そんな彼らの知見をご紹介します。

 

今回のテーマは、「二次流通」で化粧品を買う人とは?です

 

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メルカリなど、いわゆるフリマアプリと言われるような個人間での売買が珍しくなくなってきた昨今、件数はさほど多くはありませんが、@cosmeのクチコミの中でも『メルカリで買いました』といった類のクチコミが投稿されています。(直近2年間で「メルカリ・ヤフオク・ラクマ・オークション・フリマ」というワードが使われているクチコミは約620件)

 

先日、株式会社アイスタイルは株式会社メルカリと、化粧品市場の一次流通活性化に向けてお互いの商品データを連携し、化粧品ブランド向けに二次流通市場の情報を活用した新たなビジネスソリューションの創出を目指す包括業務提携を締結致しましたが、(詳細はこちら:https://www.istyle.co.jp/news/press/2020/02/0220.html

 

そもそも「メルカリ」など二次流通で化粧品を買う人とは一体どんな人なのか?どのような理由で買っているのか?について、@cosmeメンバーに対して実施した調査結果や、クチコミデータをもとに考えてみたいと思います。

 

「メルカリ」で化粧品を購入する人は、
“情報感度が高く、クチコミを気にする傾向”
「メルカリ」も情報源の1つに

 

以前、15歳以上の@cosmeメンバーに対し実施したウェブアンケートの結果によると、ECで化粧品を購入する人のうち、「メルカリ」利用者の割合は2割でした。この2割をさらに「メルカリ」のみを利用しているグループと「他のEC」も利用するグループに分けたのが以下のグラフとなります。

各グループの特徴として、まず見られたのが「メルカリ」利用者は情報感度が高く、かつクチコミを気にする傾向があるということです。これはグループ①②に共通して言えることです。

クチコミの中には「メルカリ」も情報源の一つとして利用している様子も見受けられます。

 

今までアイシャドウベースを使った事がなくて、アイシャドウベースがどんなものなのか試したかったので、とりあえず手軽なプチプラで探していました。たまたまメルカリでこの商品を見かけたのでドラッグストアに行った際に購入してみました(21歳)

メルカリでオルチャンメイクで検索したら出てきて、色味と名前に惚れて購入しました。発色がよく、持ちもいいです。(48歳)

 

ほしいなぁと思ってからメルカリで調べるとみんな底見えが凄くて、とても使えるアイシャドウなのだなぁと興味がさらに湧き、これは絶対新品買っても損はしない商品だとなったのですが、使ってみた感想としては普通。キラキラが好きな人向きかなぁ?(39歳)

 

また、売る側の意識としても、明らかに悪いと思うものは売る気にならないといったクチコミも見られていることから、「メルカリ」で取引されているという時点で、ある程度人気商品であろうという、クチコミ機能も持ち合わせていると言えるかもしれません。

結局ゴミへ捨てました。メルカリにも売りたくない 人に譲りたくない(胸を張って譲れないからゴミ箱行きで~)私には向いていないなぁくらいのものではない。みんなに向いていないと胸を張って言いたい(笑)(32歳)

速攻ゴミ箱行き!!フリマに出したとしても1円でもお金を出して買った人が気の毒。なので捨てました。(30歳)

 

実際、直近2年間@cosmeのクチコミの中で、「メルカリで売りました」という内容を含む97商品を調べてみると、7割以上がクチコミ件数100件以上であり、多くの人から使用されていることが分かります。また、おすすめ度も平均5点以上の高評価といえるものが全体の半数を超えており、(売りに出した彼女には合わなかったかもしれないが)@cosmeの中では人気の商品が多くを占めている様子が見えてきます。

 

今後、@cosmeのデータと連携することにより、より生活者にとって価値のある情報源となっていくだろうと期待されます

「メルカリ」で化粧品を購入する人は、
”美容に対する興味関心が高い傾向”
まずはミニマムで試したい

2つ目の特徴として挙げられるのは、「メルカリ」利用者は美容への興味関心度が高いということです。

美容への興味関心度が高く、いろいろな商品を使ってみたいと思う人が多いからでしょうか。クチコミの中でもまずは「メルカリ」でサンプルやミニサイズを購入したという内容が多くみられます。価格が高い商品はもちろんのこと、安いものに対しても同様の行動をとっており、慎重性や失敗したくないという心理も垣間見られます。

ずっと気になってたんですけど、クレンジングにしては高い…と躊躇していたのでメルカリでパウチを出品していた方から買い、気に入ったので、小さいサイズの方を買いました。それでもクレンジングにしてはお高いので週2.3の使用です(32歳)

 

ドラッグストアですごく安く売ってる(詰め替え用が398円)のだけど、臭いというクチコミも多く現品購入は怖かったので、メルカリで2日分のサンプルを手に入れて試してみました(43歳)

また、そもそも現品サイズの容量は多すぎるという声もみられています。

お店に行った際ムエットをいただき、気になってサンプルをメルカリにて購入しました。(香水はあまり使わないのでサンプルサイズまでいかずとももっと少ないサイズでも出してほしいなぁと思います)甘い香りですが甘すぎず、最後は落ち着いた香りになるのでわりと使いやすい香りなのではと思います。現品購入は厳しいというかそこまで使わないし、買ったとしても飽きそうなので…。(36歳)

 

昨今、ミニサイズやトライアルサイズなどを発売するメーカー・ブランドは増えてきていますが、「メルカリ」などの二次流通がそうしたニーズの受け皿になっている様子を見ると、気軽に「試したい」と思う生活者のニーズをブランドは、まだまだ満たせていないのかもしれません。

「メルカリ」で化粧品を購入する人は、
”化粧品にお金をかけない人ばかりではない”

続いて、3グループ間の違いとして化粧品にかける金額が挙げられます。「メルカリ以外のEC」も(を)利用している人たちに比べて、「メルカリのみ」利用している人たちは、化粧品にかける金額が低い傾向がみられています。若い人たちが多く、興味はあれど、かけられる金額が少ないため、賢く安く手に入れているという姿が想像されます。

 

「メルカリ」利用者と聞くと、お金がない・倹約家といったイメージが先行しがちではありますが、今回の調査結果でいうと「安い」という理由だけで使用している人は少数派と言えそうです。

 

「安さ」以外の理由としては、前述のとおり『いろいろ試したい好奇心』や『失敗・リスクの回避』をあげましたが、もう少し深堀するために、化粧品に平均以上投資している人たちのデータだけに絞って再度分析を行いました。

化粧品にかけるお金があるのに
「メルカリ」のみで化粧品を購入する人は、
”トレンドに敏感な傾向限定品や売り切れた商品を手に入れたい”

結果、化粧品に平均以上投資しつつ、かつECは「メルカリのみ」を利用している人たちは、「メルカリ以外のEC」も利用している人たちと比較し、美容への関心が等しく高いことに加え、トレンドに対してはより敏感に反応。新しい化粧品をいち早く取り入れたいという嗜好も強くみられています。

「高価な化粧品」に対する興味や「百貨店」での購入率も「メルカリ以外のEC」も利用している人たち比較して同等の反応がみられました。

一方、異なる点として利用購入チャネル数が挙げられます。「メルカリのみ」を利用している人たちは、ECだけでなくリアル店舗でも限られたチャネルのみを利用しています。事前に情報収集し、欲しいと思った商品が手に入る場所を探し、効率的に買い求めているということなのかもしれません。

ということは、仮説ではありますが「メルカリのみ」を利用している人たちが、「メルカリ」で購入する理由は、「メルカリ」でしか買えないものだからとも考えられそうです。トレンドに敏感な人たちであるため、限定品や人気で売り切れてしまい通常ルートでは手に入らいないものを買い求める様子や、廃盤になったお気に入りの商品を入手する様子がクチコミでも散見されます。

公式サイトから全く購入できず、結局メルカリで購入しました。多少時間がかかってもいいのでしっかり在庫確保してから販売してほしいです。あるいはそういう販売商法なのかも知れませんが、高値で転売している人を見るとなんだかなぁと思います。(25歳)

ネットで見て一目ぼれして、買おうと思ったら完売…。百貨店やネット予約も大変な争奪戦だったようで、地方なのに店舗の在庫もなし!どうしても欲しくてメルカリで定価より3000円プラスで購入(30歳)

 

廃盤になってしまったのが残念でならないくらい、愛用してました。とにかくネットやメルカリなどで販売中に買いだめしたいです。(39歳)

 

社会的に問題にもなっている高価格帯での転売防止策のために、ブランドや@cosmeでも復刻販売や予約販売など人気商品を手に入れる機会を増やしていくことの必要性を感じさせます。

化粧品にかけるお金があるのに
「メルカリ」のみで化粧品を購入する人は、
”ブランドとの信頼関係が希薄な可能性も”

化粧品に平均以上のお金をかけ、かつECは「メルカリのみ」を利用している人たちで、もうひとつ違いがみられたのが情報源として「メーカー/ブランドのホームページ」を挙げた率が低かったことです。前述のとおり、特定ブランドに偏らず、その時々に話題となっている商品を購入している可能性があることから、もしかしたらメーカーやブランドとの結びつきが弱いのかもしれません。

 

クチコミの中では、契約手続きの手間や勧誘されるのではないかという不信感が聞かれます。

通販で買うとその後の手続きやら勧誘がめんどくさそうなのでフリマで新品の物を購入しました。(22歳)

ブランドからのメール攻撃が来ますがそれが気になるならメルカリとかのフリマアプリで買うことをオススメします(20歳)

定期コースほんと、怖いです。メルカリとかで買う方がまだ安心かも。(24歳)

 

個人との取引の方が、様々な問題が生じるリスクが大きいのではと思ってしまいますが、信頼できる個人を見極める力も培っており、ハードルが下がっているのかもしれません。

購入手続きや購入後のコミュニケーションの方法など、生活者が心地よく感じられる場として学ぶべきところがありそうです。

メルカリに出す前に再評価
~ 購入後のコミュニケーションの大切さ

最後に1つクチコミをご紹介します。

こちらは買った当初は全然よさがわかりませんでした。チューブの先が細いので、直接少しずつ手にとって顔に塗っていたのですが、あまり馴染みもよくなく、すっぴんと変わらんなぁ、というのが正直な感想でした。で、しばらく使わずにいたのでメルカリででも売るか、と思っていたくらいですが、クチコミを見直していたところ、手にまず出して少しくるくるとなじませた後につける、というような内容があり真似したところ、ものすごくよくなりました!!!クチコミをしてくださった方に感謝感謝です。ちょっとしたことでこんなに変わるんですね。(40歳)

 

実は@cosmeのクチコミは、購入前の検討段階だけではなく、購入後も参考にされているのです。上記の例のように、使い方ひとつで評価が変わったり、みんながいいと言っていると、徐々に良いと感じるようになったり。それくらい人の評価は曖昧なものです。

 

最近はブランド側で@cosmeの低評価のクチコミを利用して、正しい使用方法を訴求する情報発信なども増えつつあります。もちろん合わない化粧品があるのは仕方ないことですが、少しでも好きになってもらえるようにメーカーができることはまだまだあると感じています。メルカリに売られている商品やコメントにもそうしたヒントが多く隠されているのではないでしょうか。

 

私自身、改めてこうした特徴を念頭に置きながら、ブランドと生活者にとって良い方向に向かうべく邁進してまいりたいと思います。

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